(「Wikipedia」より/Lover of Romance commonswiki)
8日の発表に先立つ4月3日、東芝は14年3月期のインフラ関連工事の会計処理に問題があったとして、室町正志会長をトップにした特別調査委員会の設置を発表している。特別調査委の調査が進む中で、原価の見積もりの過小評価以外にも、調査が必要な事案が出てきた。不適切な会計処理が14年3月期より前の期にも行われていた可能性が明らかになった。
不適切な会計処理が行われたのは、コミュニティ・ソリューション、電力システム、社会インフラシステムの社内カンパニー3社とその関連会社だという。508億円の最終利益を上げた14年3月期連結決算については、「少なくとも修正の必要がある」と説明している。不適切な会計処理がいつから、誰の指示で行われていたかなどは究明されていない。
監理銘柄指定や上場廃止の可能性も
東芝は5月13日、午後11時45分という深夜に、「不適切会計の現時点での業績の影響」を発表した。東京証券取引所や投資家から「情報が少ない」「タイムリー・ディスクロージャーをすべき」といった苦情が寄せられたことから、「少しでも早くわかっている状況を説明すべきだと判断した」(東芝)ため深夜の発表になったとしている。
発表によると、14年3月期までの3年間に営業損益ベースで累計500億円強の利益がかさ上げされていた可能性があるという。東芝単独のインフラ関連工事にかかわるもので、今後、第三者委で他事業を含めた全社的、網羅的な調査が行われることになっており、影響は今後さらに広がる可能性がある。
東芝は、影響する金額が判明した場合には「速やかに公表する」としている。最終的な修正額は第三者委の判断待ちであり、500億円強に上る営業利益下方修正の可能性を公表したが、「第三者委の判断が、これと異なる可能性はある」(同社)という。
「依然として不透明感が強く、東芝が優良企業のイメージを取り戻すためには、多くの時間が必要になるだろう」(市場筋)との見方も強い。上場廃止基準に抵触する恐れがある場合、その事実を投資家に周知するため、東証で監理銘柄への指定が検討されることになる。その場合、6月末までに有価証券報告書が提出できなければ、「監理銘柄(確認中)」に指定される。さらに、7月末まで提出できなければ上場廃止になる。
上場廃止の可能性が低いが、投資家の東芝株離れは避けられない。14日に株価は小反発したが、短期筋の個人投資家による買いが中心で、機関投資家は持ち株を減らす動きが強まっている。たとえ7月末までに有価証券報告書を提出できたとしても、「虚偽の記載」などがあり影響が重大と判断されれば、「監理銘柄(審査中)」になる。