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巨艦・東芝、異常事態で危機 不正会計発覚で無配転落 待ち受ける最悪のシナリオ

文=編集部
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巨艦・東芝、異常事態で危機 不正会計発覚で無配転落 待ち受ける最悪のシナリオの画像1東芝本社が所在する東芝ビルディング
(「Wikipedia」より)
 5月8日(金)、東芝は過去に不適切な会計処理が行われたとして、2015年3月期連結決算の公表を6月以降に延期すると発表した。企業にとって極めて都合の悪い事実の公表は金曜日に行うという、広報のセオリー通りの発表だった。

 15年3月期の業績予想を取り消し「未定」とし、期末配当の見送りを決めた。期末の無配は10年3月期以来5年ぶり。東芝は第三者委員会を設置し、調査を進める。不適切な会計処理を理由に、決算発表を延期するのは異例のことだ。東芝の経営姿勢に批判が集まり、発表翌週11日の東京株式市場で株価が急落することが懸念されていた。

 今回の問題点を整理しておこう。東芝は4月3日、14年3月期のインフラ関連工事の会計処理に問題があったとして、室町正志会長をトップにした特別調査委員会の設置を発表している。特別調査委の調査が進む中で、原価の見積もりの過小評価以外にも、調査が必要な事案が出てきた。不適切な会計処理が14年3月期より前の期にも行われていた可能性が明らかになった。「調査結果に対する信頼をさらに高める」(東芝)ため、第三者委員会の設置を決めたというが、5月8日の公表時には第三者委員会の具体的な人選などは明らかにされなかった。どう調査を進めるかも公表されていない。

 不適切な会計処理が行われたのは、コミュニティ・ソリューション、電力システム、社会インフラシステムの社内カンパニー3社とその関連会社だという。508億円の最終利益を上げた14年3月期連結決算については、「少なくとも修正の必要がある」と説明している。不適切な会計処理がいつから、誰の指示で行われていたかなどは究明されていない。「売り上げや利益がドレッシング(化粧)され、水増しされていた可能性が極めて高い」(市場筋)のだ。

 第三者委員会を設置するほどの重大かつ深刻な問題なのに、東芝はタイムリー・ディスクロージャー(迅速な情報開示)を怠ってきた。東京証券取引所は上場企業に対し、決算期末後45日以内に決算の内容を公表するよう求めている。東芝は5月15日が期限だが、大幅に遅れる。6月以降としているが、東芝の不適切な会計処理が故意であれば、東証は投資家に注意を促すために「特設注意市場銘柄」に東芝を指定し、改善報告書の提出を求めることになる。

グループ企業にも影響波及

 公表翌週明け5月11日の東京株式市場で、東芝の株価はストップ安(80円安)となる403円30銭まで売られた。下落率は16.6%だった。12日も375.2円まで下げ、年初来安値を更新した。同日、東芝は上場している連結対象のグループ会社4社の15年3月期決算発表を延期したことを明らかにした。同様の理由で、東芝プラントシステムは15日に予定していた発表を延期した。

 連結対象のグループ4社とは、販売時点情報管理(POS)端末大手の東芝テック、計測用記録紙を手掛ける国際チャート(ジャスダック上場、東芝テックが56.6%の株式を保有)、船舶用電機大手の西芝電機、半導体製造装置のニューフレアテクノロジー(ジャスダック上場)。4社は7~8日に発表予定だったが延期した。新たな発表時期は未定。東芝テックは12日に株価が急落し、598円の50円安と年初来の安値に沈んだ。グループ企業を巻き込んで影響が急拡大しているのに、東芝の情報公表は遅れている。市場筋は「社外の専門家だけで構成される第三者委員会の立ち上げは5月中だというが、遅すぎる。東芝は危機感が欠如しているとしかいいようがない」と指摘する。

BusinessJournal編集部

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