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シャープ消滅のXデイ わざわざ「ウチは危ない会社です」と宣言した理由

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シャープ本社ビル(「Wikipedia」より/Otsu4)
 シャープは6月23日、第121期定時株主総会を開催する。そこで資本金と資本準備金を減らす議案が可決されるかどうかに注目が集まっている。否決されれば、シャープの中期経営計画の前提が崩れる。巨額赤字の最中、奇策に打って出たシャープは最初のヤマ場を迎える。

減資は株主総会の決議が必要

 ゴールデンウィーク明けの5月9日。「シャープが1218億円の資本金を1億円に減らすことを検討している」と報じられ、この衝撃的なニュースは全国を駆け巡った。減資の狙いは、資本金を取り崩して累積した損失の穴埋めに充てるためだ。また法人税法上、資本金1億円以下の企業は中小企業として扱われ、外形標準課税を免れるなど優遇措置がある。つまり、一石二鳥を狙った奇策なのだ。

 連結売上高3兆円、従業員5万人規模の大企業の減資は過去にあまり例がないため、シャープ株を保有している株主が不安になったのも無理はない。週明けの5月11日午前の東京株式市場でシャープの株価は一時、値幅制限いっぱいのストップ安(80円安)まで急落した。終値は前営業日比68円安(26%安)の190円で取引を終えた。取引高は3億2800万株と前営業日に比べて300倍を超えた。さらに、14日に発表した「中身がぺらぺら」(外資系証券会社のアナリスト)との批判が集まる中期経営計画が失望売りを誘い、株価は一段と落ち込み、160~170円台で推移している。

 99%以上の減資という奇策に、宮内洋一経済産業相は12日の閣議後の会見で「違和感がある」と不快感をあらわにした。周囲の声に押されて1億円への減資は断念し、計画を5億円に変更したが、減資で累積赤字を一掃する狙いに変わりはない。

 大幅減資は、シャープの株主にどんな影響を与えるのか。

 1218億円の資本金を5億円に減らすと、1213億円が剰余金に移行する。なぜ資本金から剰余金に移すのかというと、資本金のままでは制約が多く自由に使えないからだ。シャープは1213億円を剰余金に移して、累積赤字の解消に使うことにした。

 日本航空のように破綻処理されると、100%の減資が行われる。この場合は既存の株式の価値はなくなるが、シャープの減資だと、株主の保有株数はそのままで株式の価値は残る。減資をする場合、同時に増資に踏み切ることもよくあるが、そうすると1株当たりの価値が薄まる。株式の価値が損なわれれば、株主には損害を与えることになる。したがって、減資を行うには株主総会での決議が必要になる。中計を遂行する上での最初のハードルは、減資について株主に賛成してもらうことだ。否決されたら中計そのものが空中分解してしまう。