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町田徹「見たくない日本的現実」

スカイマーク再建の暗部と呆れた内情 批判集める多比羅裁定、民事再生法の欠陥露呈

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スカイマークの旅客機(「Wikipedia」より/坂部 秀治<G-TOKS>)
 破綻して民事再生法に基づく再建の道を模索しているスカイマークが先週金曜日(5月29日)、東京地裁への再建計画案提出にこぎ着けた。とはいえ、先行きに漂う暗雲は払しょくされていない。大口債権者である米航空機リース会社イントレピッド・アビエーションが全日空ホールディングス(ANAHD)を排除する独自の再建計画案を出す騒ぎに発展したためだ。

 いかにも日本的というか少し不思議なのは、早くから29億7000万円の第三者割当を引き受けて身銭を切って再建を支援するANAHDが、大詰めで卓袱台返しをした張本人として新聞各紙で批判の的になっている点だ。スカイマークが運航していた航空機エアバスA330の引き取りをめぐって、イントレピッドに対する信義則違反を犯して、再建計画全体を危うくしたとされている。

 しかし、イントレピッドの主眼は自社の債権カット額を減らすことにあるとみられる。スカイマークの債権弁済をめぐるトラブルの責任をANAHDだけに帰すのはやや無理がある。そもそも、2000年に中小企業の企業再生を対象として発足した民事再生手続きの制度的な欠陥や暗部こそ、直視すべきではないだろうか。

 5月29日公表の再建計画案によると、東京地裁や債権者の了承を得られれば、スカイマークはまず100%減資を実施。その後、第三者割当増資を行い、180億円の資本を調達する。引受先と内訳は、投資ファンドのインテグラルが50.1%、ANAHDとその友好銀行(日本政策投資銀行と三井住友銀行が組成・出資するファンドUDSを通じて出資)が合計で49.9%。スカイマークの取締役は、インテグラルが3人、ANAHDが2人、UDSが1人を指名する。ちなみに、会長をインテグラルが、社長をUDSが選定する予定だ。

 資金繰りに着目すると、180億円のうち、民事再生手続きに必要な弁護士費用や再生債権者への弁済に必要な費用の合計約25億円を差し引いた残り、つまり155億円程度をスカイマークの債権者への弁済に充てる計画。弁済率は100万円までが100%、それを上回る部分は5%を予定している。ちなみに、現時点までに1901人の債権者が、合計で3089億円の債権を主張しているという。7~8月に開く債権者集会で了解が得られれば、再建計画がスタートし、第三者割当増資や取締役人事が実施される。

 一番肝心な点だが、今のところ債権者集会で再建計画への了解が得られるかどうか予断を許さない状況だ。

不可解なANAHD批判一色


 最大の懸念は、5月29日付で支援航空会社を未定としつつ、ANAHDを外し、スカイマークにリースしてきた機材を引き続き使用するよう求める独自の再建計画案を提出したイントレピッドと、その機材の製造メーカーである欧エアバスの動向である。再建計画をスタートさせるには、債権総額の2分の1以上に当たる債権者の了解が必要だからだ。これから精査の手続きに入る段階にあるものの、この2社は言い値ベースでそれぞれ1150億円、880億円の債権があるとしており、合わせて全体の3分の2近くを占める計算になっている。そもそも、これほど問題がこじれ、一大口債権者が再建主体の企業と対立する案を裁判所に持ち込むのは、異例の事態といってよいだろう。