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町田徹「見たくない日本的現実」

スカイマーク再建の暗部と呆れた内情 批判集める多比羅裁定、民事再生法の欠陥露呈

文=町田徹/経済ジャーナリスト

 この2社が再建計画案の提出直前になって態度を硬化させた原因として、新聞各紙がやり玉に挙げたのがANAHDの対応だ。5月27~29日にかけての各紙のインターネット版をみると、以下のような具合になっている。

「イントレピッドは4月中旬の時点ではANAの参画を支持する意向を示していたが、最近になって反対に転じたという。イントレピッドの支持は、投資ファンドのインテグラル(東京)がANAとの共同支援に合意する決め手の一つだった。スカイマークがリース契約を解除した中型機の活用をめぐり、意見が対立したことが背景にある」(27日付読売新聞)

「イントレピッド・アビエーションとエアバスがANAホールディングスの支援を盛り込んだ再生計画案に難色を示した。背景にはANAへの不信感があるとみられる。債権者側は経営破綻で被った損失をANAとの個別の商談で穴埋めできると期待していたが、商談が成立しない見通しとなったことに反発している」(28日付日本経済新聞)

「米航空機リース『イントレピッド・アビエーション』が、機材のリースなどの方針を巡ってANAと対立し、同社の出資に反対。エアバスも難色を示している」(29日付毎日新聞)

「両社はスカイマークの経営破綻でこうむった損失をANAとの商談で穴埋めするつもりだったが、ANAに断られ、その思惑が狂った。このため両社には、賛同取り付け後、同案提出の直前に『はしごを外された』との不信感がANAに対して募った」(29日付ロイター通信)

 こうした報道がなされる中、29日、再建計画案公表に同席したANAHDの長峯豊之上席執行役員は、次のように述べて新聞各紙の論調に反論したが、ほとんど無視された。

「イントレピッドだが、スカイマークで使用していたA330を使う可能性について、協議を行ったことは事実。ただANAの信義違反があったかのような新聞報道が最近あるが、協議の中で拘束力を持つような約束は行っていない。従い、イントレピッドの主張については戸惑いも感じている」

「我々の機材調達の基本的な考え方は、中長期的な経営戦略、財務状況、経済合理性などを総合的に判断して決定していくということ。従い、我々が今回スカイマークのスポンサーになったからといって、機材を調達するということはない。エアバスとは長きにわたり友好的な関係にあると思っており、この友好関係は今後も継続すると信じている。この関係を背景に、大口債権者であるエアバス社との交渉について、我々なりにお手伝いしていきたい」

 ANAHDは、昨年秋から今年初めにかけてのスカイマークとの資本・業務提携を時間切れでご破算にし、スカイマーク破綻の直接の引き金を引いたとされている。その言動の稚拙さも含めて、今回も一定の責任がある可能性は否定できない。

町田徹/経済ジャーナリスト

町田徹/経済ジャーナリスト

経済ジャーナリスト、ノンフィクション作家。
1960年大阪生まれ。
神戸商科大学(現・兵庫県立大学)卒業。日本経済新聞社に入社。
米ペンシルべニア大学ウォートンスクールに社費留学。
雑誌編集者を経て独立。
2014年~2020年、株式会社ゆうちょ銀行社外取締役。
2019年~ 吉本興業株式会社経営アドバイザリー委員
町田徹 公式サイト

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