消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
ヤマトHDとしては、自社が開発した受注・物流システムを出店者が採用してくれれば新たなビジネス機会となる。なにより、現在約20%といわれている再配達率が少しでも減らせることになる。
置き去りにされる消費者
一方、今回の提携で果たしてメリットを享受できるのか疑問なのが消費者だ。確かに消費者にとって選択の幅が広がることは事実だが、現在でも自宅配達時に不在の場合は「不在票」が残され、好きな時間を指定して再配達してもらうことができる。消費者にとっては、基本的にそれが一番便利なシステムなのではないか。
私は、今回の提携は大きな成功とはならないとみている。消費者の便宜を最大化しない、企業の至便性を求めるプログラムが定着するのは難しいだろう。
また、楽天出店者からの商品を預かるコンビニ側からみると、手数料収入が発生するので問題はなく、すでに宅配便受発送の拠点としても機能しているところに業務が追加になるだけである。コンビニは物販に加えて、宅配便、ATMなどの金融サービス、チケット発売、さらには住民票を発行するところも増えている。街のインフラとしてのコンビニをサービス拠点として使えれば、こんなに便利で強力なネットワークはない。
しかし、店舗で働いているのはほとんどがアルバイト店員であり、これ以上取り扱いサービスが増え続けていけば、その研修負担は大変なものとなり、当然取り扱いミスも発生する。労働環境が過酷になっていけば、いずれコンビニがブラック企業化してしまう危険性も懸念される。
(文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役)
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