家電量販大手5社の業績が出そろった。年間売上高比較でのベスト5とそれぞれの対前年比増減は次の通りだ(特記がないものは2015年3月期決算数値)。
1位:ヤマダ電機、1兆6643億円(12.1%減)
2位:ビックカメラ、8120億円(15年8月期予想、2.1%減)
3位:エディオン、6912億円(9.8%減)
4位:ヨドバシカメラ、6515億円(5.7%減)
※非上場のため、6月24日付日経MJの推定値より
5位:ケーズホールディングス(HD)、6371億円(9.1%減)
14年4月に消費税が増税され、その直前に駆け込み需要が起こったため、その反動減で各社は軒並み売り上げを落として苦戦したことが見て取れる。
ところが、上位5社を経常利益額で並べ直すと、順位が大きく動く。
※以下、社名、経常利益(対前年比増減)、売上高経常利益率
1位:ヨドバシカメラ、511億円(3.8%減)、7.8%
2位:ヤマダ電機、355億円(29.2%減)、2.1%
3位:ケーズHD、258億円(17.9%減)、4.0%
4位:ビックカメラ、205億円(14.6%減)、2.5%
5位:エディオン、111億円(25.3%減)、1.6%
ヤマダ、エディオン、ケーズHDは年商を1割前後下げたが、その結果として経常利益額は2~3割近く下げている。ビックカメラに至っては、売上高2.1%減に対して経常利益は14.6%下がる。ヨドバシ以外の4社の利益実現を「脆弱経営」だと非難するのは当たらないだろう。トップ(売上高)が減ればボトム(最終利益)が大きく減るというのはむしろ通常の出来事といえるからだ。
ここで注目されるのはヨドバシで、売上高を5.7%減らしたのに、経常利益は3.8%しか減らしていない。つまり売り上げ減のダメージを吸収している。しかも、他4社と比べて対売上高経常利益率の7.8%は際立って高く、前期の7.7%よりも改善している。
実はヨドバシは10年3月期以来、7~8%台の経常利益率を継続している。これは安値競争を繰り広げてきた家電量販大手の中で異彩を放つどころか、実に優れた経営実績を残してきた。ビジネスモデルの際だった強さを示してきたのがヨドバシカメラだ。