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「ココロに効く(かもしれない)本読みガイド」山本一郎・中川淳一郎・漆原直行

古代ローマの奴隷制がスゴすぎる!ビジネスに役立つ知識の宝庫?

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『奴隷のしつけ方』(太田出版/マルクス・シドニウス・ファルクス著、ジェリー・トナー解説)
【今回取り上げる書籍】
奴隷のしつけ方』(太田出版/マルクス・シドニウス・ファルクス著、ジェリー・トナー解説)

 奴隷をしつける……といっても、サディスティックな性嗜好をお持ちの御仁が嗜む刺激的なプレイの話ではありません。

 本書は「わが一族は何世代も前から多くの奴隷を所有してきた。したがって、奴隷の扱いについてわたしが知らぬことなどない」と豪語する古代ローマ貴族が、“未開の民”である読者に向けて、古代ローマにおける奴隷の適切な扱い方や、よき主人となるための心構えを説いたものです。

 いまいちピンとこないかもしれませんね。まずは目次を見ていただきましょう。だいぶ雰囲気が掴めるはずです。

【目次】
序文 主人であれ
第1章 奴隷の買い方
第2章 奴隷の活用法
第3章 奴隷と性
第4章 奴隷は劣った存在か
第5章 奴隷の罰し方
第6章 なぜ拷問が必要か
第7章 奴隷の楽しみ
第8章 スパルタクスを忘れるな!
第9章 奴隷の解放
第10章 解放奴隷の問題
第11章 キリスト教徒と奴隷
あとがき さらばだ!
(編注:上記各章の正式表記はローマ数字)

 読めばすぐにわかることなのでネタバレしてしまいますが、著者として名前が出ているマルクス・シドニウス・ファルクスなる古代ローマ貴族は、あくまで架空の人物。実際のところは、「解説者」となっている英ケンブリッジ大学のジェリー・トナー教授が執筆しています。訳者・橘明美氏のあとがきによれば、トナー教授は次のような方だそう。

「専門は古代ローマの社会文化史。それも、下から見た歴史の専門家で、『庶民』や『大衆文化』を追いかけています。たとえば当時の理髪師から大衆文化を読み解いたり、娯楽がどんな意味をもっていたかを考察したりと、遠い(時代としては)ながらも身近なテーマを研究しています」

 要するに、古代ローマにおける奴隷制およびそれらに関連する習俗を、歴史家がわかりやすく解説した本、ということになるのですが、遊び心あふれる執筆者の設定や、なりきり感のある筆致にニヤニヤしてしまうことうけあいなのです。