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サントリーの危機 急速に財務健全性が低下、巨額のれん代償却…「普通の会社」化か

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サントリーホールディングス本社(「Wikipedia」より/663highland)
 サントリーホールディングス(HD)は7月28日、「早ければ2018年にも株式を上場する検討に入った」との一部報道に対して、「当社が上場について検討に入った事実はない」とのコメントを発表した。

 サントリーHDが「株式上場の検討に入った」と伝えられた背景には、米ビーム(現ビームサントリー)の買収で、財務内容が悪化したことがある。サントリーはビームを昨年買収し、蒸留酒で英ディアジオ、仏ペルノ・リカールに次ぎ世界第3位に浮上した一方、買収に1兆6500億円の巨費を投じたことで財務の健全性は低下した。

 14年12月期連結決算によると、有利子負債は2兆453億円。前年同期の3.5倍となり、金額で2兆円を超えた。健全性の指標である負債資本倍率(ネットDEレシオ)は1倍以下が適正とされているが、13年12月期の0.1倍からビームの買収で一時、1.5倍にまで膨らんだ。当面は借入金の返済を優先させ、16年末までに1倍以下に抑える方針だ。

 また、のれん代は前年同期比2.7倍の1兆1187億円、商標権は7.1倍の1兆3239億円に拡大した。日本の会計基準では、のれん代は20年以内に毎期定期償却する必要がある。
大型の買収を実行すれば、のれん代と償却負担が巨額に上り、業績に大きな影響を与える。サントリーHDの15年12月期業績予想の営業利益は、のれん代等の償却前が2610億円。償却後は1930億円に目減りする。のれん代等の償却は680億円と巨額だ。

 14年12月期の自己資本比率は13年期の32.3%から19.4%に下がり、20%を割り込んだ。ROE(株主資本利益率)は30.7%から4.7%へ急落。ビームの大型買収で、ピカピカだったバランスシートは一変した。

 グループで年商4兆円を達成するには、新たなM&Aが不可欠だ。プロ経営者としてローソンからスカウトした新浪剛史社長にとって初の大仕事は、日本たばこ産業(JT)からの自販機事業買収だった。

 5月、上場飲料子会社であるサントリー食品インターナショナルは、JTの飲料自販機のオペレーター事業などを1500億円で買収することでJTと合意した。JTが売却する自販機事業は、国内業界4位で26万台の自販機を保有する。首位の日本コカ・コーラの保有台数は83万台、2位のサントリーは49万台である。今回の買収でサントリーは75万台となり、日本コカ・コーラに肉薄する。