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アサヒやキリンのビール大手が買収に意欲を見せたこともあって、サントリーは1500億円の高値をつけて落札した。買収価格と純資産の差額であるのれん代は1000億円相当になる。20年の定額償却として、年間の償却額は50億円にのぼる。
サントリーHDは負債の圧縮に向けて傘下の仏コニャック製造子会社、ルイ・ロワイエを8月末に135億円で売却するなど事業の選択と集中を進めている。買収(=攻め)と借入金などの負債を減らす(=守り)のバランスをどう取るかが、今後の大きなポイントになる。
“普通の会社”化の懸念も
サントリーHDは、ゼネコンの竹中工務店と並ぶ株式未公開会社の雄である。上場には高いハードルがある。鳥井・佐治の創業家一族の資産管理会社、寿不動産がサントリーHDの89.32%の株式を握っているからだ。上場会社になれば、増資を繰り返すたびに寿不動産の持ち株比率が低下し、サントリーは創業家の持ち物でなくなる日がやがてくる。このことを創業家は恐れている。
サントリーはこれまで非上場企業だったゆえに、思い切った決断ができた。1963年に参入したビール事業が08年に営業黒字を出すまで45年かかった。長い時間をかけてビール事業を育てることができたのは、非上場会社ゆえだったからである。
ビームの巨額買収も非上場ゆえにできた芸当だ。短期に収益の向上を求められる上場会社では難しかったといわれている。
サントリーHDが上場するということは、サントリーの持ち味がなくなり“普通の会社”になる懸念がつきまとう。
(文=編集部)
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