NEW

「牛も豚も鶏も全部、中国に持っていかれる」危機浮上…中国との食肉争奪戦激化!

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

伊藤忠商事東京本社(「Wikipedia」より/Kakidai)
 食肉加工業界第2位の伊藤ハムと第7位の米久が、2016年4月に経営統合する。共同持ち株会社をつくり、2社を傘下に置く。伊藤ハム株1株につき持ち株会社1株、米久株1株につき同3.67株を割り当てる。持ち株会社の社長には伊藤ハムの堀尾守社長が就く。社名や本社の場所などは11月をメドに決める。

 両社は16年3月29日に上場廃止となり、設立する共同持ち株会社が4月1日に新規上場する。2社の売上高合計は6362億円。国内首位の日本ハム(同1兆2128億円)に次ぐ規模だが、ハム・ソーセージ事業の売り上げでは新会社が首位になる。

 再編を主導したのは、両社の筆頭株主である三菱商事。2社の社長は、いずれも三菱商事の出身だ。

カギ握る三菱商事


 伊藤ハムは1928年、伊藤傳三氏が創業し、48年に伊藤栄養食品工業株式会社(現・伊藤ハム)を設立。ハム・ソーセージ大手の一角を占める。関西では「ポールウインナー」が有名。傳三氏が他社の商品と差別化すべく地域限定で発売した、動物の腸を使わないウインナーで、「関西のソウルフード」と呼ばれている。関西ではとてもポピュラーな商品だが、他地域ではほとんど販売されていない。

 伊藤ハムには不祥事の過去がある。05年の豚肉偽装で摘発された関税法違反、08年の東京工場の水質汚染問題などで経営が悪化。創業家出身の会長と社長が退任するとともに09年、三菱商事が株式の20.0%、4965万株を取得した。

 伊藤ハムは今年3月にはニュージーランドの食肉卸・アンズコフーズを子会社にした。16年に中国とニュージーランドの牛肉関税が撤廃されることから、ニュージーランド産牛肉の対中輸出の増大が期待され、これを先取りしたM&A(合併・買収)だ。

 一方、米久は65年に個人創業、69年に米久畜産販売サービス株式会社(現・米久)として設立。静岡県が地盤の業務用食肉加工の大手だ。創業家の庄司一族が持ち株を麒麟麦酒(現・キリンホールディングス)に売却、99年にキリングループの傘下に入った。

 07年、三菱グループ内の食肉事業再編にあたり、麒麟麦酒は保有していた米久株式を三菱商事に売却した。09年、米久、三菱商事、伊藤ハムの3社は業務提携を締結。13年に三菱商事がTOB(株式公開買い付け)を実施して、米久株式の62.5%、1801万株を手中にし、三菱商事の子会社とした。

 伊藤ハムは牛と豚に強いが、大衆化路線で日本ハムに大きく後れを取っている。米久は養豚場、養鶏場を多数所有し、ギフトや高級品に強いという棲み分けはできている。伊藤ハムは伊藤家の同族経営だったこともあり、閉鎖的な会社といわれてきた。一方、米久は過去に大株主の意向に振り回された苦い経験がある。