NEW

横浜マンション傾斜、データ偽装の旭化成建材に広がる「経営危機」懸念

【この記事のキーワード】

, ,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

杭工事に関するお詫びとお知らせ(「旭化成建材 HP」より)
 子会社の旭化成建材による杭打ち工事データ偽装が発覚した旭化成の株価下落が止まらない。業績悪化の不安から10月20日の株価は前日終値比29.5円安の700.5円。一時、693.6円(36.4円安)まで下げ、年初来安値を更新した。問題が発覚した14日から終値で217円下落したことになる。

 旭化成の浅野敏雄社長は20日、子会社が杭打ちを手がけた横浜市都筑区のマンションが傾いた問題で初めて記者会見した。責任の所在をめぐっては、販売元の三井不動産レジデンシャルや工事元請けの三井住友建設との間でずれが見えた。

 偽装が発覚したマンションは全4棟。旭化成はこの日の会見で、傾いた1棟については調査、補強、改修にかかる費用を全額負担すると表明した。一方の三井不動産レジデンシャルは全棟の建て替えや部屋の買い取り、住民の精神負担への補償などを検討すると表明している。こうした費用について浅野社長は「売り主や施工会社と誠意をもって協議する」と述べるにとどまった。

 仮に4棟すべてを建て替えるとなると、買い取りや住民の引っ越し費用を含めると300億円以上かかるとみられる。三井不動産レジデンシャル、三井住友建設、旭化成建材の建て替え費用の分担についての交渉は難航が必至だ。

 旭化成建材がこの10年間に杭打ち工事を請け負った全国の物件3000棟についてもデータ偽装の有無などを調査し、22日に国土交通省に報告する。同様の問題が発覚すれば、費用はもっと膨らむ。「売上高644億円(15年3月期)の旭化成建材の支払い能力から、一気に経営危機に陥る懸念も広まってる」(市場筋)。

親会社にとっても大きな痛手


 注目されるのは旭化成の15年9月期(4~9月)中間決算である。11月6日に発表する。補強、改修、建て替えに備えて、どの程度の引当金を積むかが焦点となる。旭化成は16年3月期までの5カ年の中期経営計画を立てている。同計画では16年3月期の目標を売上高は2兆円、営業利益は1600億円としている。問題発覚までは順調に推移しており達成は確実と見られていた。だが、杭打ち偽装で暗転。業績の大幅な下方修正をせざるを得ない。

 旭化成の事業は今回問題を起こした住宅・建材、創業事業であるケミカル・繊維、エレクトロニクス、ヘルスケアの4つに分けられる。旭化成の15年3月期決算は絶好調だった。売上高は前期比4.7%増の1兆9864億円、営業利益は10.2%増の1579億円、純利益は4.3%増の1056億円。売上高、利益ともに2期連続で最高を更新。