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郵政上場、高成長の可能性は「ない」が、日本を大きく活性化させる可能性「大」

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日本郵政ビル(「Wikipedia」より/Rs1421)
 日本郵政ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の日本郵政グループ3社による「親子同時上場」が11月4日に実施される。小泉改革以降、10年にわたり曲折を続けた民営化がいよいよ最終段階に入る。上場に向けて本年3月末に筆者は拙著『日本郵政』(東洋経済新報社)を上梓し、桁外れの「ヒト、モノ、カネ」をもつ「知られざる巨大企業」日本郵政を広く国民に紹介した。

 日本郵政グループの株式上場の規模は数兆円で、NTT株以来の今世紀最大の大型株として注目される。国内で販売する株の95%は個人など小口の投資家に販売することになり、市場活性化につなげたいとの期待は大きい。また、2022年度までの売却収入は、復興財源確保法で東日本大震災の復興費用に充てることができると規定しており、「日本郵政株式の売却収入として見込まれる4兆円程度」を追加することになっている。復興を後押しする意味でも、郵政上場を成功させることが重要だ。

 安倍政権にとっては、日本郵政上場はアベノミクスの最大の一手といえる。株価を押し上げることで資産効果によって消費を活性化させ、デフレ脱却を狙うのがアベノミクスだ。日本郵政株を契機に個人投資家が儲けることができれば、それが消費を喚起させ、国内景気を上向かせる起爆剤にもなる。その観点からも、日本郵政の株式公開は絶対に成功させなければならない。同時に、業績も株価も長期にわたって低迷することは許されない。

 他方、日本郵政は上場に向けて、「トータル生活サポート企業」として積極的に新たな事業分野の開拓などを行ってはいるものの、成長シナリオが必ずしも明確ではない。今後、日本郵政が既存の民間企業よりもより高い成長をする可能性があるのかと問われれば、答えは「否」でしかない。郵便事業や郵便局は、どこの国を見ても成長産業ではない。日本も例外ではない。ユニバーサルサービスを義務づけられた中で競争も展開しなければならない上に、郵便事業は慢性的な赤字で、郵便局は郵便事業、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の3事業からの窓口業務の委託手数料が主な収入源だ。

 郵便事業は郵便物数が低下傾向になる中で、国際物流、とりわけアジアの物流に活路を求めざるを得ない。収益源である頼みの金融事業についても、貯金残高や保険の保有契約件数は減少傾向にあり、また超低金利で金融2社の運用収益は低迷している。