というのも、3社が売り出す株式の99.5%を、わずか61社の引き受け証券が担う構造となっているからだ。しかも、主幹事証券は大和証券、野村証券、みずほ証券、SMBC日興証券、岡三証券、東海東京証券、三菱UFJモルガン・スタンレー(MS)証券、ゴールドマン・サックス(GS)証券、JPモルガン証券の9社。この中からさらに、野村ホールディングス(野村証券の持ち株会社)、三菱UFJMS証券、GS証券、JPモルガン証券が、アジアや米欧への売り出しも担うグローバルコーディネーターとして選定されている。
この結果、中堅証券や大手証券系ではないインターネット証券にはほぼ3社株式の配分がないと見られる一方、主幹事証券、とりわけグローバルコーディネーターには潤沢な数量が配分されることが確実。ある地方の中堅証券の幹部は「顧客から問い合わせがあり、新規の口座を作ってもらって待機してはいる。ただ、実際は1株の配分すらない可能性がある」とため息をつく。また、都内の比較的大きめな独立系証券も、「大口顧客にも、配分を期待しないようにと説明した」(執行役員)としている。
その一方で、大手証券では三菱UFJMS証券がダイレクトメールや休日の電話攻勢で営業をかけているもようだ。同じグループの東京三菱UFJ銀行でも証券仲介口座を利用して顧客に接近しているという。それでもまだ余っているとの見方もある。野村証券でも大口顧客からの引き合いが活発だが、当局から新規の個人投資家を開拓せよとの要請があり、販売はむしろ苦戦気味との情報が流れているのだ。つまり、欲しいところにはほとんど配分がなく、大手ではむしろもてあまし気味という異常事態になっているのだ。
さらに、価格形成に重要な影響を与える国内機関投資家は現時点で3社の株式を保有しておらず、ブックビルディング(需要予測)での獲得や大手証券からの配分待ちの状況。不足分は上場後の買い付けとなる見通し。一方、外資系証券は海外の年金など大口投資家に販売していると推計されるなど、大口でも対応が分かれている。某国内大手では「3社は12月末にTOPIX(東証株価指数)に採用されるため、それに合わせて(保有資産がインデックスに連動するように)新規に購入せざるを得ない」としていた。IPOに参加できない恨み節にも聞こえる。