東証一部上場のIT関連企業Aは、複数のグループ企業を擁して、年間売上高ベースでも大きな規模を誇る有名企業だが、その創業社長B氏の周囲がにわかに騒がしくなっている。
B氏をめぐっては、不倫相手への暴行や不正増資疑惑が一部メディアでも報じられており、共に現在は被害者側が刑事告訴の準備を進めているという。
そんなB氏は本業の傍らで経営者交流会「C」を主催している。公称会員は約3000名で、入会金10万円、1カ月1万円の会費で成り立っており、B氏のもとには月3000万円の現金が流れてくる計算だ。しかし、このお金の流れはA社内でも一切不明なのだ。
入会させる手口は、B氏や有名経営者による無料セミナーを開催して集客し、興味を持たせるという手法がよく用いられている。参加者には女性が多く、彼女たちはCの「特別顧問」に名を連ねる大物経営者をみて、「こんな人と会えるなんて」と人脈を広げる目的を持って入ってくる。しかし、彼らの存在は名前だけで、会に顔を見せることはほぼない。
Cには「参事」と呼ばれる上級会員が存在するが、上級会員になるためには「一般会員を10人紹介し、入会させる」ことが条件となる。そして参事になると、「1人紹介して入会させる毎に5万円のキックバックが得られる」という、ネットワーク商法まがいの仕組みになっているのだ。もちろん、Cのウェブサイトにこうした内容の説明は存在しない。
「金を払う奴隷だ」
入会した会員に対しては、A社の子会社で電子雑誌を発行するD社の社員による電話勧誘が行われる。「おめでとうございます! あなたは経営者雑誌の掲載枠に選ばれましたので、ぜひお話を聞かせてください」との電話を受け、喜び勇んで会員がオフィスに行くと、D社が発刊する電子雑誌に掲載する提灯記事のインタビューが行われ、会員はその対価として30万円を請求されるという構造だ。もちろん「掲載枠」などは存在せず、単なる営業トークであることはいうまでもない。
さらに参事よりも上級の役員クラスのメンバーに対しては、当該電子雑誌の広告枠を1枠20万円で卸し、末端の会員に1枠30万円で売る権利を与えている。そして彼らには12枠を1口(240万円)として、年間2口(480万円)を買わされるのだ。