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秘密保護法、新聞・出版・民放労連が異例の大規模廃止行動 全国で違憲差し止め訴訟拡大

文=林克明/フリージャーナリスト
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●ミュージカルの中身は秘密

 制作発表記者会見では、制作側、出演者、賛同者など多様な人が集まり発言した。法律監修者の1人である海渡雄一弁護士は、「今日の会見で発言するに当たって、関係者から強く言われたのは、ミュージカルの中身についてしゃべるな、特定秘密なのでしゃべるな、ということです」と秘密であることを強調。法律の危険性は話せても、ミュージカルの見どころ聴きどころは語れないという。

「私の難しい説明より面白い」(田島泰彦上智大学教授、憲法・メディア法)
「秘密を守る苦しい立場です」(村井敏邦一橋大学名誉教授・刑事法)

 立て続けに関係者は発言するが、肝心のミュージカルの中身には触れられない。仕方なくチラシをのぞいてみると、こうある。

「20XX年、ついに秘密保護法違反の逮捕者が出た。メディアの取材合戦にもかかわらず、検察・警察は秘密保護法を盾に一切事件の内容を明らかにしない。裁判当日、姿を現した被告人はなんと普通の市民9人。原発に勤務する青年とその幼馴染み、そして長者町町内会の面々だ。無罪を主張する弁護側と、組織的犯行を主張する検察とが真っ向から対立。彼らは一体どんな『秘密」に触れたのか? 裁判官や証人も巻き込み、さまざまな立場の思いが交差する中、果たして裁判の行方は……」

 今回の企画は、日本出版労働組合連合会(出版労連)がギルドq.に、特定秘密保護法をミュージカルで演じられないかと依頼したのがきっかけ。ギルドq.は、現代社会を鋭く風刺し、なおかつエンターテインメント性あふれるオリジナル・ミュージカル作品を発表し続けている演劇集団だ。

 今回は、多くの個人賛同人を集めたほか、特定秘密保護法に反対する出版労連、日本新聞労働組合連合(新聞労連)、日本民間放送労働組合連合会(民放労連)など、出版・新聞・放送の労働組合なども全面的に協力している。
 

●普通の人が特定秘密に近づく勇気

 作・演出の田中広喜氏は、こう話す。

「法廷を中心とした題材は、普通の演劇ではあり得ても、ミュージカルでは歴史的なことではないかと思っています。しかも、音楽・ダンスすべてオリジナルです」

 おまけに上演時には傍聴券30枚を希望者に配布し、傍聴席からの観劇もできるという。どうやら、一般の観客席とは別に、ステージと一体化した傍聴席が用意され、迫力ある法廷ミュージカル劇を目の当たりにできるらしい。

 田中氏に、このミュージカルの神髄について聞いてみた。

「『勇気』という言葉がキーワードになるかもしれません。逃げるのではなく、むしろ隠されようとする秘密に近づいていく、しかも普通の人が……そんなイメージなのです。最近問題になっているヘイトスピーチもそうですが、今の時代に必要なのは勇気ではないでしょうか」
(文=林克明/フリージャーナリスト)

●上映日程など

『THE SECRET GARDEN~嘘の中にある真実~』(ミュージカル・ギルドq.)
10月22日~10月26日
東京都中野区立野方区民ホール「WIZホール」

・問い合わせ先 THE SECRET GARDEN上演実行委員会(himitsu-haishi@syuppan.net
・ホームページ http://musical-guild-q.com/09/

秘密保護法、新聞・出版・民放労連が異例の大規模廃止行動 全国で違憲差し止め訴訟拡大の画像2上演チラシ

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