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ブラック企業アナリスト・新田龍「あの企業の裏側」第27回

パナホーム、高齢被害者女性を提訴、強引に契約催促、架空請求、書類偽造の疑い

文=新田 龍/株式会社ヴィベアータ代表取締役、ブラック企業アナリスト
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パナホーム、高齢被害者女性を提訴、強引に契約催促、架空請求、書類偽造の疑いの画像1「Thinkstock」より

「ブラック企業アナリスト」として、テレビ番組『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)、「週刊SPA!」(扶桑社)などでもお馴染みの新田龍氏。計100社以上の人事/採用戦略に携わり、数多くの企業の裏側を知り尽くした新田氏が、ほかでは書けない「あの企業の裏側」を暴きます。

 全国的に名の通った大手ブランドを信頼して土地活用を任せようとした顧客に対し、強引に契約を迫り、勝手に作成・捺印した書類を基に工事を進め、一部代金を受け取りながら不適正な工事を行い、残代金の支払いを求めて裁判を申し立てている会社がある。

 それは「パナホーム株式会社」だ。テレビCMも放送されるなど、その名は全国的に知れ渡っているが、そのブランドを信頼した顧客の信頼を裏切る事実がある。

 今回、高齢女性Aさん(仮名)とその家族からヒアリングした事件を紹介したい。

●Aさんがパナホームに土地活用を依頼するに至った経緯

 Aさん一家は、兵庫県宝塚の閑静な住宅街に住んでいたが、Aさんの夫が他界した際、諸事情により一家が相続できたのはその土地と建物だけであった。当時Aさんは年金暮らし、娘も派遣社員として勤務している状態であり、決して生活に余裕があるわけではなかった。

 しかし、相続した土地は広大で、固定資産税も高額となる。早々に納税が困難になることも予想されたが、一家にとって思い出の土地であり、できれば手放したくなかった。そこでAさんは、当該地を活用して収入を得る方法を模索し始めた。具体的には土地を「居住部分」と「活用部分」に分割して、活用部分に一軒家を数棟建築し、そこから家賃収入を得るという方向性で固まり、Aさん一家はいくつかのハウスメーカーを検討することとなった。

 知人にパナホームを薦められて問い合わせたところ、同社の迅速な対応にAさんはすっかり信頼し、問い合わせの1カ月後には同社社員が実地確認のために訪問してきた。

 ある年の4月、パナホームから2人の社員(B、C)がAさん宅を訪れ、現場を確認した。その際に工事資金の話となり、Aさんは「相続したのはこの土地だけなので、土地を担保にして融資を受けたい」と要望を伝えた。Bは「大きな土地だし、融資は問題ない。提携先の金融機関もあるので心配ない」と説明した。

 その後、複数回にわたって建築業者や設計士なども交えて現地確認があり、Aさん一家も立ち会った。活用を考えていた土地は従来の庭だった部分で、Aさんから「残したい木や庭石、灯篭もある」と伝えたところ、Bから「それならば、梅雨前には移植しないといけないから、契約を急がなければならない」と説明され、契約をせかされることになる。

 打ち合わせを進める中で、パナホーム側から以下のような建築計画が示された。

・土地上に住宅を8棟建築可能。その前提で資金計画を立てる
・ただ、一度に工事を進めてしまうと自治体からの開発許可が必要になるため、4期に分けて工事していく。各期それぞれ2棟ずつ建てる
・完成した住宅はパナホームが一括して借り上げるので、一定の賃料収入が得られる
・借入金の返済を踏まえても、計算上2年目以降からAさん一家に利益が残る

 Aさんはこの内容を見て、パナホームを信頼した。銀行融資についても、借入金額や返済案、手数料や金利など資金計画書に具体的に記載されていたため、パナホーム側が金融機関と交渉し、工事代金は問題なく全額融資されるものとAさんは認識していた。

新田龍/働き方改革総合研究所株式会社代表取締役

新田龍/働き方改革総合研究所株式会社代表取締役

労働環境改善による企業価値向上支援、ビジネスと労務関連のこじれたトラブル解決支援、炎上予防とレピュテーション改善支援を手がける。労働問題・パワハラ・クビ・炎上トラブル解決の専門家。厚生労働省ハラスメント対策企画委員。著書25冊。

Twitter:@nittaryo

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