パナホーム、高齢被害者女性を提訴、強引に契約催促、架空請求、書類偽造の疑い
●契約を解除、パナホームから提訴される
AさんはD所長に対して、Bが融資の相談もしないままに契約や工事を進めてしまったことに対して苦情を述べた。しかしD所長は「Bからは、Aさんたちが親戚から融資を受けるようになっている、との報告を受けている」と説明した。Aさんは親戚からお金を借りる話などしたことはなく、そのようなつもりもなかった。仮に親戚からの融資を前提にしていたのであれば、その旨の資金計画も提示されていなければおかしい。
そのように根拠のない融資計画が上司に報告されているほか、調べてみると銀行に行っていない日に銀行に相談したなどとする虚偽の報告書やAさんの記憶にない書類にAさんの署名・押印がされていることなど、不審な点が次々に明るみに出てきた。
Aさんはパナホームに対する信頼を失い、D所長に対して解約の意思を伝えた。
翌年3月、AさんはD所長のさらに上司に当たるE部長と面会した。その際E部長からは、その時点までに進めた工事費用の清算を要求された。Aさんは「伐採や伐根などの作業はすべて終わっていないはず」と主張したが、E部長は「本当はそれ以上にかかっている」と説明した。
Aさんは、知人から紹介された別の不動産会社に相談したところ、パナホームから出された明細書について、現地を確認した上で回答を受けたが、そこで複数の不審な点が明らかになった。
具体的には
・伐採、伐根途中であるにもかかわらず、切土盛土工事や整地工事が行われていない
・施工されていない工事費用が請求されている
・「残してほしい」と依頼していた灯篭は現場に無造作に投げ捨てられ、損壊していた
・位置指定道路の申請を市役所に行い、費用も支払い済みと明細書に記載されていたが、市役所に確認したところ申請は出されておらず、費用も支払われていなかった
・同じく、砂防申請費も計上されていたが、土木事務所に確認したところ、こちらも申請されていなかった
などだ。
一連の、パナホームによるあまりのひどい対応に、Aさん一家は心労が積み重なり、ついにAさんは倒れてしまった。
●パナホームが顧客を訴える
そのような状況の中、パナホームから「通告書」なる書面が届いた。つまり「工事代金が未納だから、早く支払え」ということだ。Aさんは弁護士を立てて代理人間で話し合ったが解決には至らず、結局パナホームから提訴されたのだ。
本件で疑義がある点を次にまとめてみる。
・「工事代金に融資が必要」という前提条件のもと、パナホーム側からは「提携金融機関から融資が可能」との説明を受け契約したが、パナホーム側は契約を急ぐあまりに金融機関との調整を行わず、結果的に融資が得られず、計画自体が頓挫してしまった
・資金計画書に虚偽内容があった
・工事中断後、不当な費用清算を請求してきている
当方は、事実を確認するため、パナホームの営業所および担当社員のBとC、パナホームの担当弁護士に対して質問状を送るとともに取材を申し込んだが、コメントを得ることはできなかった。引き続き本件については取材を進め、事実を明らかにしたい。
(文=新田 龍/株式会社ヴィベアータ代表取締役、ブラック企業アナリスト)