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たかぎこういち「“イケてる大先輩”が一刀両断」

ユニクロが目標にしたGAPが倒産危機…カジュアル志向加速で老舗アパレル破綻ラッシュ

文=たかぎこういち/タカギ&アソシエイツ代表、東京モード学園講師
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GAPの店舗(「Wikipedia」より/Kakidai)

 コロナ禍が決定打となり、インターネットへの適応が遅れていた世界中のアパレル企業の世代交代が急速に進んでいる。中国海関総署(日本の税関にあたる)によると、1月から3月の貿易統計では中国から日欧米への衣類輸出が前年同月比20~30%減となっている。

 世界の名門小売業の破綻が続き、アパレル産業の潮流が大きく変化している。米GAPの家賃不払い訴訟、バングラデシュ企業への大口発注キャンセル、米国で200年を超える歴史のあるブルックス・ブラザーズの破綻の可能性まで取り沙汰されている。東急プラザ銀座のアジア最大旗艦店をはじめ、国内主要都市で展開される英メンズブランド「ハケット・ロンドン」も日本撤退の噂が囁かれている。今回はそうした情報をもとに、アパレル業界の今後を探る。

1.売上世界第4位アパレル企業GAPの今

 著者は昨年出版した拙著『アパレルは死んだのか』(総合法令出版)で、GAPの問題点を指摘した。売上額ベースでユニクロに抜かれ世界3位から4位になっても、米国を代表するアパレル企業であり“アメリカンスタンダード”と呼ばれている。世界で最初にSPA(自社で生産から小売りまでのサプライチェーンを構築する業態)を実現した素晴らしい企業であり、ユニクロが目標として学んできた企業でもある。そんなGAPをめぐり、良くない報道が続いている。

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『アパレルは死んだのか』(たかぎこういち/総合法令出版)

 米国の百貨店・アパレルの現状は非常に厳しい。昨年3月に新店をオープンしたばかりの、全米で43店舗を展開する高級百貨店ニーマン・マーカスが5月7日に連邦破産法を申請した。ただし、すでに清算されたバーニーズと違い、債権者との合意で事業継続は認められている。ニーマン・マーカスのハワイ店には日本語のホームページも開設され、日本人顧客も少なくない。15日にはゼネラルストアーを全米で約850店運営するJCペニーも破産法を申請。ニューヨークに旗艦店を置くメイシーズは、全店舗の約1割にあたる125店舗の閉鎖、従業員12万5000人の一時解雇を発表した。アパレル販売を主力とする小売関連企業で破綻ラッシュが起きている。

 米国ではモータリゼーションによって各地にモール(ショッピングセンター)が開発され、衣料品を主とする百貨店や大型テナントが出店を競った。今や国民一人当たりの売場面積はダントツの世界1位で、明らかにオーバーストア状態である。

 200年を超す歴史があり全米で約250店舗を展開するブルックス・ブラザーズにさえ、身売り・倒産予想の報道が出ている。GAPも例外ではなく、3月以降に北米の店舗を閉め8万人の従業員を一時解雇。北米に展開する約2400店の家賃支払いを中止すると発表。北米店舗の月額家賃の合計は1億1500万ドル(約125億円)となる。

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