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牧野フライス、圧倒的な強さの秘密…世界中から必要とされる日本の機械メーカーの技術

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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牧野フライス製作所 HP」より

 現在、工場の自動化(ファクトリー・オートメーション、FA)関連の機器や部品加工、金型の製造を手掛ける国内機械メーカーの業況が持ち直している。代表的な工作機械メーカーである牧野フライス製作所の株価推移を確認すると、ワクチン接種による世界経済の正常化への期待に加えて、米中の対立が先鋭化するなかで同社がさらなる強さを発揮すると考える投資家は増えつつある。

 コロナ禍を境に、世界経済の環境は大きく、かつ、より速いスピードで変化している。新型コロナウイルスの感染が発生する以前に進んでいたIoT(インターネット・オブ・スィングス)といった変化に加え、脱炭素や水素社会の実現に必要な技術をめぐり、米中の競争、あるいは対立が激化しつつある。健康・医療分野での技術革新を目指す企業もある。

 そうした変化は、日本の機械メーカーが新しい製造技術を生み出し、さらなる成長を目指すチャンスだ。なぜなら、対企業向け(B2B)の生産・加工技術に関して、国内機械メーカーは世界的な競争力を発揮しているからだ。そうした強みを冷静に各企業が捉え、磨きをかけることが日本経済の持ち直しと安定に欠かせない。

国内機械産業の現状

 現状、工作機械メーカーをはじめ、国内機械産業の精緻なモノづくりを支える技術は、世界各国の企業から必要とされている。日本工作機械工業会が公表する工作機械統計を地域別に見ると、需要の回復が鮮明なのが中国をはじめとする東アジア地域だ。2020年、東アジア地域の工作機械輸出は2019年と同水準にまで回復した。中国だけでなく、韓国と台湾からの需要も回復しつつある。東アジア地域に比べると回復は弱いが、欧州や北米地域の工作機械需要も上向いている。今後の感染の影響は軽視できないが、世界全体で日本の工作機械に対する需要は着実な回復に向かい始めているように見える。

 そのなかで注目したい企業が牧野フライスだ。特に昨年4月以降、同社は受注計画の金額を示し、それを据え置いた。それに着目して同社の強さを考えたい。

 2020年前半、コロナショックの影響による事業環境の急速な悪化を理由に、業績予想の公表を控える企業は多かった。一貫して受注計画の金額を提示してきた牧野フライスには確固たる信念があっただろう。それを2つの点から考えたい。まず、牧野フライスは、しっかりとした受注計画を示すことで、ステークホルダー(株主や取引先企業などの利害関係者)を安心させたかった。次に、同社は自社の競争力を冷静に理解し、潜在的な需要をしっかりと把握していた。

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