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100円ショップ、なぜ絶好調?売上が過去最高を更新へ…300円均一「ミカヅキモモコ」は破綻

構成=長井雄一朗/ライター
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ダイソー(上)、キャンドゥ(下)の各店舗

 100円ショップの業績が好調だ。帝国データバンクの調査によると、2020年度の業界売上高(事業者売上高ベース)は11年連続で増加する見通しで、過去最高を更新することがほぼ確実だという。背景にあるのは、コロナ禍による“おうち時間”の増加と消費者の節約志向だ。キッチン用品からインテリア用品まで幅広く需要が伸長し、セリアやキャンドゥなどの大手で増収増益となるケースが相次いだ。また、店舗数も過去10年で4割増えているという。

 100円ショップ業界の現状について、帝国データバンクデータソリューション企画部情報統括課副主任の飯島大介氏に話を聞いた。

ダイソーの電子メモパッドは500円でも品切れに

――コロナ不況でさまざまな業種が打撃を受ける中、100円ショップ業界は好調ですね。

飯島大介氏(以下、飯島) 100円ショップはファッション性や実用性に優れたアイテムをワンプライスで提供することで消費者の支持を集め、規模を拡大してきました。ダイソーなどの大手5社は積極的な出店を続け、店舗数は20年度中には8000店を超えるだろうとみています。

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 20年度はコロナ禍で、在宅時間の増加や節約志向の高まりといった消費者側の変化がありました。そこで、生活雑貨からアイデア商品までが安価で揃う100円ショップが改めて支持を集めています。また、取扱商品がバッティングするホームセンターやドラッグストアも同様に業績が好調です。

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――大手の動向について教えてください。

飯島 業界最大手で非上場のダイソー(大創産業)は100円ショップの基本スタイルは堅持しつつも、100円以上の商品を取り揃えたり、300円ショップの「THREEPPY」、1000円オーバーのハイブランド店舗「Standard Products」業態を新たにオープンするなど、柔軟に対応しています。その結果、たとえば同社が発売した電子メモパッドは500円と100円ショップとしては高額ですが、実用性の高さとコスパの良さがネットで話題となり、店舗によっては一時品切れになるなど、消費者のニーズを的確につかみました。

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ダイソーの電子メモパッド

 キャンドゥは300円など高価格商品のラインアップ拡充を目指しつつ、消費者のニーズにマッチする経営戦略で、20年11月期の売上高は連続増収を記録、21年期も引き続き増収の予想です。

 ファッション性の高い雑貨で女性層に人気のセリアは高価格帯を意識しつつも、100円均一の姿勢を維持している点がダイソーとは対照的です。21年3月期の売上高は、前年比1割の増収となる1987億円を予想。売り上げ、利益ともに過去最高を更新する見通しです。

――100円ショップの出店攻勢は、今後も続くのでしょうか。

飯島 消費者の根強い節約志向などを背景に、100円ショップは底堅い需要が見込めます。各社は今後も積極的な事業展開を進める見通しで、業績には追い風となりそうです。たとえば、最近では食品スーパーなどが入居する商業ビルに100円ショップがテナントとして店舗を構えるケースも増えています。どちらも主な購買層は主婦層で親和性も高く、ついで買いの需要が見込めるほか、100円ショップは集客力が高いので、スーパーにとってもシナジー効果が高いのです。

 消費者のプチ贅沢ニーズをくすぐる300円ショップなど高価格帯の出店攻勢も盛んです。一方で、競争の激化に伴い、100円ショップを含めたワンプライス業態全体の飽和感が強まっているのも現状です。

――2月には、300円ショップの「ミカヅキモモコ」が経営破綻しました。

飯島 同業他店との競争激化に加え、インバウンドの失速で来客数が落ち込んだことが主な要因です。同社は他社に比べてインバウンドの獲得に注力していたこともあり、コロナ禍で訪日客急減の影響が直撃する形となりました。出店競争が加速する中、同業や自社ブランド間での顧客獲得競争も激化しており、価格帯や立地、顧客層によっても明暗が分かれます。

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ミカヅキモモコの店舗

――今後の100円ショップ業界の見通しについて教えてください。

飯島 可処分所得の減少などで節約志向が続く中、消費者の支持を受ける100円ショップ業界は今後も成長していくでしょう。各社に共通するのは、価格にこだわらない消費者目線の商品を送り出すことで魅力や訴求力を高めていくという戦略です。客単価の向上がポイントとなりますが、100円を堅持しながらクオリティの高い商品を提供していくのか、それとも300~500円の高単価商品にシフトしていくのか。どちらの路線が消費者に受け入れられるか、今後の推移を注意深く見守る必要がありそうです。

(構成=長井雄一朗/ライター)

長井雄一朗/ライター

長井雄一朗/ライター

建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス関係で執筆中。

Twitter:@asianotabito

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