8月8日に、TwitterまとめサイトのTogetterに投稿された「イオンモールはつまらない場所だと思っていたが親になると違った」という記事が、8月16日時点で総閲覧数が約32万回を超えるなど、大きな注目を集めている。
記事の中心となったのは、あるTwitterユーザーが投稿した「イオンモールは人の親になるまではあまり興味を惹かれなかったが、いざ親になってみると、授乳、おむつ、ベビーカーのストレスを考えずに安心して出かけられる空間なことに気づかされた」という趣旨のつぶやき。このツイートに賛同するかたちで多くのユーザーから、子ども連れに対するイオンモールのさまざまな施策やサービスについての称賛の声が寄せられていたのだ。
そこで今回は、今注目のイオンモールの店舗情報などに加え、筆者が実際にイオンモールを訪れ、ネットで評判を呼んでいる、子ども連れへの配慮の実態についてのルポをまとめてみた。
国内外総計197店舗、VRアトラクションまでも有するイオンモールの凄み
そもそもイオンモールとは、イオングループが運営する大型ショッピングセンターとモール型ショッピングセンターのブランド名。2022年4月末時点で国内に163店舗、海外に34店舗、合計197店舗を展開し、今なおその店舗数は拡大中。
大型店舗ゆえにさまざまなサービス、とりわけ子ども向けの施設が充実しているイオンモール。なかには、子ども向けのアトラクション施設まで有した店舗も存在する。例えば「イオンモール鹿児島」(鹿児島県鹿児島市)だ。2階の「リトルプラネット」というゾーンには、AR技術を使った砂遊びができる「SAND PARTY!」や、デジタルの影絵で遊べる「SHADOW WORLD」、さらにはプロジェクションマッピングを使ったデジタル映像のボールプール「ZABOOM」など、先端技術を駆使した10種類ものアトラクションが設置されているのである。
そのほかにも、2003年にオープンし、2024年の春に増床リニューアル予定の「イオンモール太田」(群馬県太田市)も今注目されている。建物の西側に3階建ての増床棟を建設し、既存棟も大規模なリニューアルを実施予定。増床後は施設内の店舗が40店舗増え、190店舗になるそうで、イオンモールの好調ぶりを実感させられる。
「イオンモール座間」に行ってみて感じた、子ども連れへの徹底した配慮
このように、郊外の広い土地を活かした大規模な施設設計と、そこに訪れる家族連れへの配慮が充実していると評判のイオンモール。実際にどの程度のレベルの配慮がなされているのかが気になるところだ。
そこで今回は、筆者が「イオンモール座間」(神奈川県座間市)に足を運び、イオンモールの家族連れへの細かな配慮の実態をレポートしてみる。
東京都心から1、2時間ほどの場所にあるイオンモール座間。入口の扉をくぐり、脇にあったフロアガイドを見ると、3階建ての施設の中にはさまざまなショップがこれでもかと詰まっていることがわかる。
この時点で家族連れへの配慮と感じられる要素があった。それは、各階に飲食ができるゾーンが設けられていること。写真でいうところの黄色の部分がそれだ。
小さな子どもを連れていると、買い物の途中で急に「お腹が空いた」と言い出すことも少なくないだろう。だが、ベビーカーを押していたり、買い物の荷物だらけだったりの状態でフロアを移動するのは一苦労。だが、各階に飲食スペースがあるだけで、そうした気苦労が減るのではないだろうか。
1階のエントランスに入るとカート置き場が目についた。子どもを座らせる部分がチャイルドシートのようにデザインされたカートから、「アンパンマン」のキャラクターがあしらわれた遊具のようなデザインのカートまであり、こうしたカートのデザインひとつからも子連れを意識した施設だということが強く感じられた。
そのほかにも、子どもたち向けのイベントの告知パネルがそこかしこにあることにも気づかされた。設備方面での充実だけでなく、季節に合わせて子どもたちが楽しめ、かつ学びを得られるイベントの試みもたくさん行われているようだ。
フロア全体にはファッションや雑貨など幅広いジャンルのショップが立ち並んでおり、このあたりは大人も快適に楽しめるつくりという印象だ。また、通りの横幅が広めにつくられているので、家族で横並びに歩いても他の人とぶつかりづらいという点も評価できるのではないだろうか。
続いて、スーパーマーケットやお惣菜屋などが立ち並ぶ1階では冷蔵品用のロッカーを見つけた。先に食料品の買い物を済ませることもできるというわけだ。こういった長い時間イオンモールに滞在してもらうことを前提とした設備が、多くの家族連れを惹きつけているのだろう。
圧倒的充実度を誇るイオンモールのトイレ、キッズスペース、フードコート
大型モールは長時間の滞在となることも多いが、そんなときに気になるのはトイレの充実度。イオンモール座間には通常のトイレに加えて、オストメイト(人工肛門などの着用者)に対応したトイレ、2F、3Fにはさらには小さな子ども連れでも快適に使える「こどもトイレ」など、かなりの種類が揃っていた。
また、トイレの外には驚きの設備があった。それがこのカートロッカー。カートを丸ごとここに入れておけば、気兼ねなく買い物の途中でもトイレを利用できるというわけだ。
ほかにも赤ちゃん休憩室や授乳室のほか、「キッズスペース」と呼ばれるトイレ脇のスペースには、乳児のために使える調乳用の浄水給湯器やベビーベッドが設置されており、赤ちゃんが急に泣き出してしまった際などに駆け込めるスペースとして機能していた。
フロアの3階には、キッズ用品を取り扱う店舗が立ち並んでいるのだが、フロアの床の大部分にカーペットが敷かれており、幼児が転んでも怪我をしにくい仕様となっていたのにも驚かされた。
また、3階には天然木にこだわった無料の滑り台などがある、「KIDS FIELD」と呼ばれる小さな公園のようなスペースも。
最後に訪れたフードコートにも数多くの工夫が見られた。例えば客席の合間に点在する手洗い場。こちらを利用すれば、ご飯を食べる前にわざわざトイレまで行って子どもの手を洗わせなくても済むというわけである。
現在はコロナ禍の影響で利用停止中だが、客席の一角にある「KIDS LAND」は、本来であれば食事後に子どもたち同士を遊ばせておけるので、親たちがほっと一息つく時間を与えてくれるのだろう。
このほかにも、各フロアのいたるところにベンチが置かれていることからも、子どもを連れて歩き回る親たちへのサポートの心が見て取れた。イオンモールが、子連れの家族層をメインターゲットに据え、彼らが安心して1日を過ごせる無数の配慮に満ちた施設であるということは間違いないだろう。
(文=TND幽介/A4studio)