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またイオンモール開業で大渋滞、なぜ繰り返す?路線バス遅延、地域住民に迷惑も

文=Business Journal編集部、協力=西川立一/流通ジャーナリスト、マーケティングプランナー
またイオンモール開業で大渋滞、なぜ繰り返す?路線バス遅延、地域住民に迷惑もの画像1
イオンモール土岐のHPより

 先週7日、イオンモール土岐(岐阜県土岐市)が開業したが、再び「イオンモールによる渋滞問題」がクローズアップされている。

 イオンモール土岐開業の2日後、9日の日曜日には約1万5000台の車が来店し、地元紙・岐阜新聞によれば、施設に面する国道19号では入り口から最大約1.8kmの渋滞が発生し、道路脇には「入庫まで約90分待ち」との看板が掲げられたという。その影響は周辺住民にもおよぶ。岐阜新聞によれば、国道からの抜け道となる生活道路にまで車が進入して車列が発生し、身動きが取りにくくなったという迷惑を被る住民も。さらにイオンモールとJR土岐市駅、JR多治見駅を結ぶバス路線は渋滞により最大で約40分の遅延が発生したという。

 イオンモールの開業直後や休日などに周辺道路が渋滞するという現象は、過去に何度も繰り返されてきた。昨年7月に東北地方で最大級のショッピングセンター(SC)となるイオンモール新利府(宮城県利府町)が全面開業した後には、宮城県を南北につなぐ県道の利府街道で渋滞が頻発。14年にJR岡山駅前に開業したイオンモール岡山でも、開業から3年後に交通渋滞の問題が再燃するなど、支障が生じるのは開業直後のみに限らない。

 そのため、ネット上では「イオンモールへ行く際の渋滞回避法」が話題になることも。例えばイオンモール幕張新都心(千葉市美浜区)をめぐっては、

<イオンモールとコストコの渋滞が重なりすぐ横を通る道は大渋滞します。おすすめは海沿いの道から警察付近のT字路を曲がりファミリーモールとペットモールの間の交差点に出る。そこを直進し、入れればファミリーモールに、少なくともペットモールには駐車できると思います>

という書き込みが。また、イオンモールむさし村山(東京都武蔵村山市)をめぐっては、

<前準備:日立物流にナビを設定する(できれば目的地をイオン、途中目的地を日立物流の方がいい)①新青梅街道のファミマを右折します ②ヤマダ電機ルートを通らず横切る(セブンイレブンがある) ③直進(ちょっとカーブ道)しながら進む ④でっかい工場(駐車場がめちゃ広い日立物流という会社)を左折 ⑤突き当たりではないが、工場に沿って右折する ⑥工場に沿って直進(少しうねうねしている)すると少し渋滞してくる ⑦イオンモールの最南端の交差点に到着(ようやくイオンが見える) ⑧信号を直進、イオンの南入口にたどり着く>

などと、詳細に最短ルートを指南する投稿もみられる。

対策に限界も

 今回のイオンモール土岐の開業前に際しては、地元自治体も事前に対応を見せていた。多治見警察署は5日、HP上に「イオンモール土岐開催に伴う道路案内」というリリースを掲載。次のように住民へ警戒を促していた。

<多治見市内から土岐市内にかけて国道19号及び周辺道路において断続的な渋滞が予想されます。国道19号の西進車線(多治見市方面行き)は迂回路の案内板が設置されていますが、東進車線(瑞浪市方面行き)には案内板が設置されていません。迂回路も限られています。特に瑞浪市方面に向かわれる方は、手前の池田町交差点から大きく迂回していただくなどの御対応をよろしくお願いいたします>

 開業に伴い繰り返される渋滞問題。気になるのは、イオンモールは過去の経験に基づき、それを回避する施策等を打てないのかという点だが、小売り業界関係者はいう。

「小売り企業がモールなどの大規模な商業施設を開業させるに当たっては、周辺地域に迷惑をかけないように、事前に自治体や公共交通機関と協議・連携して対応策を検討するが、実際にできることといえば、駐車場スペースの確保や迂回ルートの呼びかけくらいで、手段は限られており、また、当日にどれくらいの車が来店するのかは“蓋を開けてみないとわからない”。イオンのように過去に何度も大規模な商業施設を開業させてきた経緯豊富な大手であっても、渋滞問題を防ぐという面では限界があるというのが現実」

交通アクセスが良いことが第一条件

 また、流通ジャーナリストでマーケティングプランナーの西川立一氏はいう。

「新たに商業施設がオープンすると、周辺の道路が混雑することが予想される。そこで施設側は地元の自治体や警察と事前に協議し、スムーズな施設への誘導方法を考えたり、渋滞解消策を講じて対策を行う。さらに、バス路線を新設したり、電車やバスといった公共機関での来店を呼びかけ、車を使わず来店すればポイントを付与するといった特典を設けることもある。

 オープン日は特に混雑することから、誘導員を増員し、臨時駐車場の設置を行い、グランドオープン前に地元の人たちを対象にプレオープン期間を数日設けて、来店客の分散を図ることもある。

 そもそも商業施設の物件を探す際は、交通アクセスが良いことが第一条件。大型の商業施設は幹線道路に面した立地で、道路から施設の動線も考え、来店しやすい場所を選び、平日、土日の来店客を想定し駐車スペースを確保できるかも考慮して出店を決める。こうした一連の対策を講じても、想定以上の客が詰めかけると、大渋滞が発生する。

 一方、商業施設の周辺住民にとっては商業施設ができることで便利になるが、車の通行量が増え、事故が増えたり環境が悪化するというマイナス面もあり、反対運動が起こる場合もある。そのため、出店者は事前に交通対策などの説明会を開催することもあり、一番気を遣う問題でもある。商業施設が新たに出店することで交通量が増加するのは当然で、オープン日やその後の一定期間の混雑は一時的なものだが、渋滞解消策が不十分だったり、駐車スペース不足などでその後も週末を中心に常態化し問題となっているケースも各地でみられる。

 商業施設は地域の生活インフラとして欠かせないが、交通対策を万全にして地域に迷惑をかけないようにすることがマストである」

(文=Business Journal編集部、協力=西川立一/流通ジャーナリスト、マーケティングプランナー)

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