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仙台駅の前の大きな百貨店が8年も空きビルで放置→なぜ突然、補修工事が開始?

2025.03.31 2025.03.31 16:26 企業
仙台駅(「Wikipedia」より/掬茶)
仙台駅(「Wikipedia」より/掬茶)

 100万人都市で宮城県の県庁所在地でもある仙台市のJR仙台駅の前という一等地にもかかわらず、2017年に突如閉店したまま約8年にわたって空きビル状態となっていた大きな百貨店が、最近になって補修工事が始まっている様子だとして一部で話題を呼んでいる。SNS上では以下のような声が出ているようだ。

<駅前(新幹線全停車)にデパートが突然潰れて放置された廃墟が堂々と建ってる事自体異様ですし、この状態が8年間続いていてなんなら補修を始めたって聞いてもう滅茶苦茶>

<ここは思いっきり人通りも多くて栄えてますからね だからこそ異様なんですよ>

<いつも真横を通ってたけど駅前の一等地に巨大な廃墟があって異様な光景だった>

 この「さくら野百貨店仙台店」跡地の大半を2020年に取得したと伝えられていたディスカウントストア「ドン・キホーテ」運営会社のパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は、Business Journalの取材に対し「現段階で事業進捗や内容については回答を控えさせていただきます」との回答を寄せた。ターミナル駅前などの好立地の大規模な商業施設が閉店になり、数年間も放置されるというケースというのは、よくあるものなのか。また、このような事態が起きる理由・原因としては、どのようなことが考えられるのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

 さくら野百貨店仙台店は17年に運営会社が破産したことに伴い閉店。PPIHは18年に隣接するビルにドン・キホーテをオープンさせ、20年には百貨店が入居していた建物と土地の所有者からその大半を取得。建物を解体して高さ150メートルの複合ビルを建設予定だという報道も出ていたが、その後は放置された状態が続いていた様子。

権利関係について関係者の間で決着がつかないケースも

 一等地のような多くの人がアクセスしやすい場所で営業していた大規模な商業施設が閉店になり、数年間も放置されるというケースというのは、よくあるものなのか。流通ジャーナリストの西川立一氏はいう。

「岐阜県の柳ケ瀬商店街にあった長崎屋が2002年に閉店し、地上9階・地下1階という大きな建物でしたが、約20年にわたり放置され、昨年にようやく解体工事が始まりました。これだけ長い期間放置されるというケースは珍しいといえます。仙台の百貨店の件でも運営会社の破産後に権利者の間で訴訟や調停が続いていたということですが、権利関係の調整について複数の関係者の間でなかなか決着せず、ずっと放置されたままになるという事例は、たまにあります。建物の保有者と地権者、建物内で営業している事業者は別であることも多いので、このような事態が生じます。百貨店の運営会社が破綻したとしても、建物の所有者と賃貸契約を締結して入居していただけなので、百貨店の運営会社が取り壊す必要はありません」

同様の事例は今後増えてくる可能性

 今後、こうした事例は増えてくる可能性もあるという。

「地方の大きな百貨店などは苦境に立たされているので、同様の事例は今後増えてくるかもしれません。老朽化した建物が何年も放置されたままですと危険な事態が生じる懸念もあるため、自治体もいろいろと動いており、跡地利用として商業施設ではなく地域住民のための複合施設にしようという動きも出てきていますが、なかなか難しいのが実情です。

 福岡、札幌、名古屋などの6大都市あたりは大丈夫ですが、それ以外の地方になると県庁所在地の大規模な駅前店舗であっても、百貨店というのはオワコン的なものになりつつあるのが現状でしょう」

(文=Business Journal編集部、協力=西川立一/流通ジャーナリスト)

西川立一/流通ジャーナリスト、マーケティングプランナー、ラディック代表取締役

西川立一/流通ジャーナリスト、マーケティングプランナー、ラディック代表取締役

流通ジャーナリスト。マーケティングプランナー。慶応義塾大学卒業。大手スーパー西友に勤務後、独立し、販促、広報、マーケティング業務を手掛ける。流通専門紙誌やビジネス誌に執筆。流通・サービスを中心に、取材、講演活動を続け、テレビ、ラジオのニュースや情報番組に解説者として出演している。

Twitter:@nishikawaryu