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ヤフー・LINE経営統合に立ちはだかった“公取委の独禁法審査”の障害

文=編集部
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ヤフー・LINE 経営統合を発表(写真:森田直樹/アフロ)

 ヤフーを傘下に擁するZホールディングスとLINEは昨年11月、経営統合すると発表した。統合が完了するのは2020年10月。スピード感に乏しい。審査や手続きに約1年かかるということだ。

 時間がかかる背景には、独占禁止法の審査がある。ヤフー、LINEともに数千万人規模の利用者を抱えている。独禁法の審査が難航することも予想される。インターネット業界のスピードに行政や法律が追いついていないことが、両社の足枷になりかねない。ネットの世界は猛烈なスピードで進化している。

 資産査定や会社法上の手続きに加え、金融商品取引法、貸金業法などの業法規上の各種手続きがある。さらに独占禁止法上の結合審査などがある。デジタルプラットフォーマーの企業結合審査については、新たなガイドラインが発表されたばかりだ。今後の重要なベンチマーク(標準)となる大型統合となる。

 公正取引委員会の山田昭典事務総長は2019年11月20日の記者会見で、ヤフー・LINEの経営統合について、「統合によるデータの集積についても考慮する」方針を明らかにした。公取委は昨年から、巨大IT企業を念頭に、企業結合ガイドラインの改定作業を進めている。ガイドラインの改定案は買収や合併による企業結合を審査する際、個人データなどがどの程度集積するかも考慮することになっている。膨大なユーザーを抱えるIT大手によるネット市場の寡占を防ぐ狙いがある。

 山田氏は「日本企業同士の統合だからといって国内市場だけで判断するわけではない」としつつ、「日本の独占禁止法違反になるかどうかの調査なので、世界市場をとらえた場合でも、日本市場にどういう影響があるかは当然、前提に置かなければならない」とした。

 公取委の杉本和行委員長は20年9月に満70歳となり、委員長を退任する。杉本氏の最後の大仕事の一つがヤフー・LINEの経営統合の可否の判断になることは間違いない。

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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