大手商社の丸紅は、100%子会社の「丸紅新電力」とともに、4月1日の電力小売り自由化にあたっての新たな電力料金プランを発表した。環境に配慮した電力を求める消費者向けに、徴収する電気料金の一部を森と緑の保全活動にあてるなど、消費者の好みに応じた電力供給会社選択の動きが出ていることに対応した。
丸紅は2月29日にスタンダードプランをすでに発表しているが、スタジオジブリとタイアップして、丸紅および丸紅新電力のイメージに合致するコマーシャルの制作を依頼したことをきっかけに、消費者の選択意識が鮮明に出る料金プランを新たに設けた。
従来発表していた内容は、電力消費量の多い顧客に価格メリットが出やすい「スタンダードプラン」(プランS)だったのに対し、新たに発表した「プランG」では、それに比べて少し高いものの、森と緑の保全活動に役立てるという目的が込められている。プランG
はプランSと比べて、基本料金が毎月100円多く徴収されるほか、従量料金が月に300キロワット時以上電気を使用したときに適用される料金(第3段階)のみ、1キロワット時あたり1円多く徴収する仕組みだ。
具体的には、関東エリアでは家庭向けで、40アンペア、1カ月に520キロワット時を使う時には、従来の東京電力の料金比で、月額約530円(年間約6360円)お得になる。東京エリアで同条件のプランS(月額約880円・年間約1万600円お得)に比べると割安感はやや縮小するが、消費者の「こだわり」の部分では満足できる結果になっているともいえる。
電力自由化では、消費者がそれぞれの判断で電力の供給会社を選ぶことができる。
たとえば原発を使わない発電を行っている会社から電気を買ったり、再生可能エネルギーのみの発電会社から買ったりなど、単に料金が安いからということだけで供給会社を選ぶ人ばかりではない。このため、供給会社の側もこうした消費者の選択行動に合致するようなプランも出そうとしているところがあり、丸紅のケースはまさにそのひとつといえる。
ジブリがCM制作
800年以上前に描かれた日本最古のマンガといわれる「鳥獣戯画」にアニメーションをつかって動きをつけ、「いのち」を吹き込んだイメージになっている。ゆたかな自然を大切にして後世に伝える願いをこめた作品に仕上がっている。
4月1日から電力自由化はいよいよ本番を迎える。これまでは前哨戦を繰り広げてきたかたちだが、いよいよ本格的な戦いの火ぶたが切って落とされる。今後もさまざまな料金プランが出てくることが予想される。丸紅のような取り組みがどれぐらい消費者にアピールできるのか、注目していきたい。
(文=編集部)