ディーン・フジオカ主演の連続テレビドラマ『モンテ・クリスト伯 -華麗なる復讐-』(フジテレビ系)の第3話が3日に放送された。平均視聴率は7.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)で、第1話の5.1%、第2話の5.7%から一気にアップした。日本では『巌窟王』の名で知られる有名小説を下敷きにした本作。原作通り、平穏に暮らしていた日々を突然奪われ、長い間過酷な環境で暮らした主人公・柴門暖(ディーン)が、自分を陥れた者たちに復讐を果たす――というストーリーになると予告されている。
ファリア真海(田中泯)から莫大な資産を受け継いだ暖はモンテ・クリスト・真海と名を変え、世界屈指の投資家となったが、その一方では復讐の計画を着々と進めていた。かつて自分を陥れた南条幸男(大倉忠義)や神楽清(新井浩文)、入間公平(高橋克典)に次々に接近した真海は、彼らを別荘でのホームパーティーに招待する。その別荘には、神楽の妻・留美(稲森いずみ)と入間しか知るはずのない、重大な秘密が隠されていた――という展開が第3話では繰り広げられた。
第1話と第2話は暖がモンテ・クリスト・真海になるまでを描く、いわば「序章」であったため、真海の復讐が始まる第3話からがメーンのストーリーということになる。それなりに期待を持って視聴したのだが、あまり良い出来とは思えなかった。
最も強くそれを感じたのは、真海が入間たちの過去の罪を知っており、それを利用して精神的に追い詰めるという展開。表沙汰になっておらず、誰も知らないはずの罪を真海がどうやって知ったのかも不明だし、「過去の罪」自体の後出し感が半端ない。自分がハメられた件について堂々と復讐を果たしていくストーリーかと思っていたので、それとは関係ない過去の罪を持ち出して利用する真海の姿には、少なからず幻滅してしまった。
また、入間たちの過去を知りながら秘密を守り通していた元空き巣の男・土屋慈(三浦誠己)を秘書として雇い、計画を進行する途中で「真海は何もかも知っている」と気付かせるやり方も陰険だ。
さらに、ラストでは南条幸男(大倉忠義)のマネジャー、江田愛梨(桜井ユキ)が真海の送り込んだ仲間だったという種明かしもあったが、驚きよりも真海にあきれる気持ちが先に立ってしまった。復讐のためとはいえ、あまりにも汚い手を使いすぎである。真海がどんどん悪い人間にしか見えなくなってくる。
もちろん、ストーリーの大部分が原作に忠実であることは知っている。だが、それはそれとして、ドラマとして見た時にディーン演じる真海が視聴者の共感や支持を得られるかといえば、相当厳しいのではないだろうか。
復讐相手を招いたホームパーティーで自らカツオをさばき、血まみれの内臓をわざわざ掲げて見せたり、ビシャッとテーブルに投げつけたりするのもさすがにひどい。留美や入間に過去の罪を連想させるための行動として描かれてはいるが、それにしても無理がありすぎる。こんなことをされたら普通はドン引きであり、復讐する前に「頭のおかしい人」として警戒されてしまうだろう。実際、おかしいのかもしれない。神楽からもらったリールを壊そうとして執拗にハンマーでたたき続ける姿は、病的でもある。
真海の復讐計画はまだ始まったばかりではあるが、今のところタイトルに含まれている『華麗なる復讐』という感じはしない。それどころか、「やりすぎだろ」と思わせる行動のオンパレードになってしまっている。ディーンのビジュアルには、泥臭いやり方よりもスマートな復讐が似合うと思うのだが。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)