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一部のシンクタンクの試算では、国債の発行残高を減少するには、「地方交付税と公共事業関連の歳出の100%カット」でも足りない。「社会保障費の100%カット」でも足りない。消費税を20%にして、国債の償還資金に充てることで、やっと国債の残高は少しずつ減少する。
こんな状態にありながら、デフレ経済脱却のための「機動的な財政政策」で、公共事業を恒常的に行っていくことが果たして可能なのであろうか。
プライマリーバランスの黒字化では、財政再建は行えないのは、“世界の常識”。欧米主要国は財政運営目標としてプライマリーバランスではなく、「財政収支の均衡」を採用している。雪だるま式に膨れ上がる国の借金は、結果的に低所得層の若者層やこれから生まれてくる子供たちが背負うことになる。
安倍政権は誕生以降、“景気のいい話”ばかりを続けている。しかし、民主党政権時代に合意した「社会保障と税の一体改革」の議論はまったく進んでいない。何故か、生活保護制度の見直しばかりが進み、生活保護の受給基準が厳しくなり、社会保障制度の見直しは棚上げ状態だ。それもそのはず、社会保障を手厚くすれば、景気対策に使う財政がなくなる。「社会保障費の100%カット」しても、財政の健全化は進まないのだから、「社会保障を充実させる」ことなど“もってのほか”なのだ。
安倍首相の「アベノミクス」はある特定の人々にとっては、希望にあふれる未来像(実現はしないが……)かもしれない。しかし、多くの国民、特に若者層を中心とした低所得者層にとっては、“弱者切り捨て”策になる可能性が大きい。「アベノミクスで貧困層は急増する」だろう。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)
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