【IVS“中の人”が本音で語る】IVS 2025を”使い倒す”ための完全攻略法
●この記事のポイント
7月2日に開幕する「IVS2025」は、1万人以上が参加し、出展企業も300社を数える一大イベントだ。明確な目的意識や綿密な計画を持たずに行くと、圧倒されたままで時間が過ぎてゆきかねない。有意義な時間を過ごし、大きな“成果”を手にするために、運営陣が「IVS攻略法」を明かした。
1万人以上が集い毎年、多くの熱気を生み出す日本最大級のスタートアップカンファレンス『IVS』。7月、京都は再びスタートアップの熱狂に包まれる。しかし、実際に参加してみて、『人ごみに流されて結局何も得られなかった』『参加費分のリターンがなかった』と感じた人も多いのではないだろうか。今年こそ、IVSを“ただのイベント”で終わらせず、あなたのビジネスやキャリアを大きく飛躍させる場に変えるために、とっておきの『完全攻略法』をIVS運営陣が明かした。
今年IVSに参加する方々のために開催されたのが、プレイベント「【IVS2025公式サイドイベント】中の人に聞くIVSの歩き方 徹底攻略ガイド」。IVS代表の島川敏明氏やCOOの岡田友和氏ら運営陣が自らマイクを握り、IVSを120%楽しむための「本音」と「裏ワザ」を大胆に語った。
本記事では、その場で明かされた運営陣の赤裸々なコメントを基に、IVSを「ただ参加する」のではなく、「能動的に使い倒す」ための完全攻略ガイドをお届けする。
目次
- 心構え:「お客様」はいない。全員が”作る側”である
- 成功は準備で決まる! 島川代表が「まずやって」と忠告する3つのこと
- 「中の人」だから知っている! 今年のIVS、注目の”裏”見どころ「VCツアー」
- 【子連れ参加者へ朗報】託児から”貸切新幹線”まで徹底サポート
- 結論:最高の3日間は、あなた自身の手で作り上げろ
- 登壇者
心構え:「お客様」はいない。全員が”作る側”である
まず、IVSに臨む上で最も重要なマインドセットを、岡田氏の力強い言葉から紹介したい。
「IVSは、受け身で何かがもらえる場所では絶対ありません。皆さん、作る一員として巻き込まれています。そこを勘違いして『お客さん』として来ると、多分、全然面白くない」
この言葉こそがIVSの本質だ。チケットを買ったからといって、誰もが「お客様」ではない。起業家、投資家、大企業の担当者、学生、その場にいる全員がエコシステムを構成する当事者なのだ。「この3日間でビジネスチャンスを掴むぞ」「最高の仲間を見つけるぞ」という主体性を持つ者だけが、その価値を享受できる。
成功は準備で決まる! 島川代表が「まずやって」と忠告する3つのこと
熱気に満ちた会場で最高のスタートを切るには、入念な事前準備が不可欠だ。島川代表が「これだけはやってほしい」と語る、3つの必須準備項目を紹介しよう。
1.【最重要】公式アプリで”会う約束”を取り付けろ!
今年から導入された公式アプリ「4S」。その最重要機能が「マッチング(ミーティング)機能」だ。IVS代表の島川氏は、その重要性をこう断言する。
「まずそれをやってください。お会いしたい方がいたら、20分のアポイントメントを事前に申請できるので、それをやっていただくと、すごく有意義な3日間を過ごせるんじゃないかなと思っています」
確かに、アポを設定しないと、広大な会場で目当ての人を探すのは至難の業だ。会いたかったキーパーソンとの貴重な出会いを逃すことになりかねない。他の運営陣からも、「『元が取れたな』と思う状態までアポを設定していくのが絶対おすすめ」と参加者目線で力説する。会場での偶然の出会いに期待するだけでなく、開幕前に「勝利」を確定させておく。これがIVSを使いこなす猛者たちの常識だ。
2. “テーマパーク”を歩くように、7つのゾーンを攻略せよ
今年のIVS会場は、単一の空間ではない。Whiplus氏は「ある意味、テーマパークみたいな感じ」と表現し、島川氏も同調する。AI、ディープテック、エンタメなど7つの「テーマゾーン」に分かれており、それぞれにステージやネットワーキングエリアが設置される。
「ゾーンごとに特色が全然違うので、皆さんもモードを切り替えてほしい。例えばGlobal Zoneでは英語しか聞こえてこないですし、Deep Tech Zoneは本当にギークな話が繰り広げられている。自分の目的に合わせて、戦略的に歩き回ってほしいです」
漫然と歩き回るだけでは、自身の目的に合わない情報に埋もれてしまい、貴重な時間を無駄にするリスクがある。公式サイトのタイムテーブルと“にらめっこ”し、「この時間はAIゾーンでセッションを聞き、その後ディープテックゾーンでキーパーソンを探す」といった自分だけの攻略ルートを事前に描いておくことが、3日間を最大限活用する鍵となる。
3. “本当の戦い”は夜にあるーー「サイドイベント」をハシゴせよ
IVSの熱量は、日中の公式プログラムだけでは終わらない。むしろ本番は夜かもしれない。京都市内の各所で、参加者が主催する非公式の「サイドイベント」が約300も開催されるのだ。
「エンタメ好き集まれ」「20代限定」など、テーマで区切られたクローズドなコミュニティは、熱量の高い出会いの宝庫。約300ものサイドイベントは、昼間の公式プログラムでは味わえない、よりカジュアルでディープな交流の場となる。特定の業界やテーマに特化したクローズドな会では、参加者同士の距離がぐっと縮まり、思わぬコラボレーションや、未来のビジネスパートナーとの出会いが生まれることも珍しくない。
運営陣も「昼はIVS、夜はサイドイベントのホッピングというのが、IVSのすごく有意義な過ごし方」と口を揃える。IVS公式サイトから一覧を確認し、面白そうなイベントには今のうちに登録を済ませておこう。少し多めのイベントに登録し、合わないと思えばすぐに退出し、次のイベントへ移動することで、自分にとって有意義な出会いを実現できる可能性が高まる。
「中の人」だから知っている! 今年のIVS、注目の”裏”見どころ「VCツアー」
今年初開催の「Startup Market(IVS Selected 300)」。VC(ベンチャーキャピタル)やCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)が推薦する有望スタートアップ300社が集うエリアだが、島川氏は「ただの展示会にしたくなかった」とその狙いを語る。
「僕らがやりたいのは、VCに連れられて歩いて、市況感を聞きながら『今だったらこの会社がイケてるよね』などと教えてもらう体験。そういうツアーを複数用意しています。一方的に話を聞くだけでなく、インタラクティブに宝探しをするような感覚で楽しんでほしい」
VCツアーでは、投資のプロフェッショナルが引率役となり、彼らの視点で『今、最も投資家が注目しているスタートアップはここだ』『この技術が次のトレンドを作る』といった生の情報に触れることができる。ただの展示を見るのではなく、VCの視点を通して市場の『今』と『未来』を肌で感じる、まさに“生きた宝探し”体験となることだろう。どの企業が本当に注目されているのか、その背景にはどんなトレンドがあるのかを、トップ投資家の視点から学べるまたとない機会になる。
【子連れ参加者へ朗報】託児から”貸切新幹線”まで徹底サポート
「去年、本番1カ月前に島川から『託児所作って』と無茶振りされて……」と今井氏が苦笑しながら明かしたのが、今年大幅に拡充された子連れ参加者向けのサポートだ。
「非常にご好評いただいたので、今年はさらに拡張します。すごいのは、夜も預けられること。サイドイベントというIVSの本当の交流が始まる時間でも、ホテルで助産師さんが見てくれるケアホテルに子どもを預けて、ぜひ飲み会に行ってきてください」
『子連れだからIVSは諦めていた』――そんなパパ・ママ起業家や投資家にとって、今年のIVSのサポート体制はまさに革命的だ。日中の託児サービスに加え、IVSの真骨頂である夜のサイドイベント時間帯も、ホテルで助産師が常駐するケアホテルで子供を預けることが可能になった。
さらに驚きなのが、JR東海と連携した「子連れ専用新幹線」の企画だ。「初日の午前、新幹線を一両貸し切ります。『子連れでIVSに行こう』という車両です」。これまで参加をためらっていたパパ・ママ起業家や投資家にとって、これは革命的なニュースだろう。こうした温かいサポート体制も、IVSが目指すエコシステムの姿なのだ。
結論:最高の3日間は、あなた自身の手で作り上げろ
IVSは、与えられるものを待つイベントではない。公式アプリをダウンロードし、会いたい人にアポを入れ、自身の目的を明確にした上で戦略的に会場を動き回る。そして、夜のサイドイベントで深い交流を築くーー。
この能動的な行動こそが、IVSでの『成功体験』をつかむ唯一の道だ。運営陣がここまで本音で語るのも、参加者一人ひとりに最高の3日間を創り上げてほしいという強い願いがあるからにほかならない。最高の“武器”を手に入れる準備はできているだろうか。京都での熱狂的な3日間は目の前に迫っている。
登壇者
島川 敏明 氏 IVS 代表/Headline Japan 代表取締役
Headline Asiaプリンシパル兼IVS代表。大阪大学大学院在学中、理化学研究所で分子生物学/神経学を研究。2017年にHeadline Asia入社後、投資活動に加え、約700名のIT経営者が集う「IVS」を運営。17LIVE創業にも携わり、2年で国内ライブ配信業界の売上1位を達成。2020年より代表取締役に就任し、招待制からオープンへ進化させた「IVS2024 KYOTO」では1.2万人が参加。起業家のため新たなIVSを創るべく奔走中。
岡田友和 氏/IVS COO
株式会社Headline Japanに所属。大学卒業後、FCのコンサルティング会社、Webマーケティング会社でそれぞれ事業推進、新規事業の立ち上げに従事。その後フリーランスに移行し複数の事業推進を中心としたプロジェクトの経験を経て、2017年より現在のIVS事務局の立ち上げに参画。現在はIVS COOとして、国内最大規模のスタートアップカンファレンスの運営を統括。
Whiplus 氏/IVS Global責任者
株式会社Headline Japan所属。日本語・英語・中国語を話すトリリンガル。株式会社リンクアンドモチベーションで、日本最大級のグローバルHRイベント「Global HR Forum Japan」の運営責任者および組織改善システム「モチベーションクラウド」のエンジニア・開発リーダーを務めた後独立。2022年には、日本最大規模のクリプトカンファレンス「IVS Crypto」を立ち上げ、関連イベントを含め7万人以上を動員。2025年にはイベントを「IVS Global」に改称し、世界中の有力スタートアップや投資家と日本をつなぐ中心地としてさらなる進化を目指している。
今井 遵 氏/株式会社Headline Japan アライアンス担当 執行役員
大学卒業後、ベンチャー企業2社の中間管理職を経験し、ライブ配信アプリを提供する17LIVE株式会社の創業期に参画。多くのリアルイベントや公式番組で社員MCとしても活動。その後、株式会社アミューズ デジタルビジネス事業部での新規事業立ち上げに携わる。
2021年4月 学生時代より活動していた司会業で、株式会社IMAJUNを創業。
2023年4月 グローバルな投資活動を行なうVC Headline Asiaチームにジョイン。国内最大のスタートアップカンファレンス「IVS」でのスタッフ統括やLAUNCHPAD SEED責任者などを担当。
東京都SusHi Tech Tokyo 学生企画「ITAMAE」アドバイザー、TIB PITCH審査委員、一般社団法人 桜美林大学校友会 常任役員、株式会社qutori Event Producer。