使用。
なかでも、昨年11月にオープンした「グルメドクターイタリアン銀座店」は、ドクター、管理栄養士、シェフが連携して運営に携わっており、開店後すぐに評判を呼び、「LEON」(主婦と生活社)をはじめとするメディアから多数の取材を受けるほど注目を浴びている。予防、健康、アンチエイジングを専門とするドクターがメニューを監修し、栄養管理士が健康バランスのよい食材の組み合わせを考え、海外で腕を振るっていた経験もあるシェフが調理を担当。グルメな人たちにも納得のいく料理を提供してくれる。炭水化物をなるべく摂らずに、急激な血糖値の上昇を抑えるメニューが、ダイエット中の食通たちに人気だ。
同店は「肉を食べても太らない」肉食ダイエット料理を提案。牧草飼育された赤身のグラスフェッドビーフを仕入れ、0~1度ぐらいの温度で3~4週間寝かせ熟成させる、「ドライエイジング加工」をした肉を使用。低温で肉本来が持つ酵素で熟成させているので、うまみを引き出せるのが大きなポイントだ。
同店が重視するのは、タンパク質、脂質、ミネラル、フィトケミカルの4つの要素。例えば肉のタンパク質は、大事な酵素や体づくりに欠かかせないものであり、ダイエット向きの食材である。また、最近注目されているフィトケミカルは、抗酸化作用=活性酸素から体を守り、肌の内側から潤いをキープして肌を若返らせる、と言われている。
これら4つの要素を考慮して食材を組み合わせ、「低カロリーでも食べて美味しい、安心安全な料理」というコンセプトを掲げている。野菜はオーガニックを使用し、ドレッシングには体内ではつくることができない、オメガ3脂肪酸が含まれるアマニ油を採用している。
同店の藁谷誠マネージャーに、客の反応を聞いてみた。
「食材はできるだけ体によいものを多く取り入れています。食材・調理などの情報に関しては、随時従業員へ教育をしていることもあり、客の満足度は高いと感じている」
運営元は整体サロン! 早くもチェーン展開を視野に
実際に店舗を訪れてみると、銀座という場所柄、茶系でまとめられた都会的センスある店内で、20~40歳男女の客層が多い。藁谷マネージャーによれば、健康を強く意識する人たちに支持され、毎日ほぼ満席状態で、予約も多いとのこと。
気になるお値段はというと、肉食ダイエットランチ・1700円(税込)~(サラダ、ドルチェ、飲み物付き)、ディナー・4500円(税込)~各種あり、夜は飲み物も充実している(季節・時期により価格変更の場合あり)。
同店を運営している株式会社ファクトリージャパングループ・グルメエンターテイメント事業部・中井恵光部長に、レストラン事業を始めたきっかけを聞いてみた。
「もともと横浜・東京を中心に整体サロンを経営し、現在は海外も合わせて100店舗以上展開をしています。整体、スパなどカラダの悩みに関する経営をしてきた延長で、健康をコンセプトに据えた飲食事業展開が生まれました」(中井部長)
では、実際のドクター系レストラン事業の業績はどうなのか?
「評判もよく、当初の売上目標額を達成しています。銀座のイタリアン以外にも、同様のコンセプトで昨年12月から都内にパスタ店、カフェも展開し、こちらも好調です。まだ同事業を開始して1年たっていませんが、今後はチェーン展開も視野に入れています」(同)
こうしたドクター系レストランは、日本のみならず、海外でも見られるようになってきた。特に、ドラマや食に日本人の関心が多く寄せられている韓国では、医療関係者が経営するレストランが登場し、韓国人はもとより日本人の間でも、早くも人気が出ている様子だ。ドクター系レストランが、アジアなど世界へ展開できる可能性を大きく感じるところである。
さて、ドクター系レストラン、これから日本全国に広がりを見せ、”おいしい”健康・美容・メタボ対策となるのだろうか? 今後の展開が期待される。
(文・写真=中村曜子/医療ライター、健康美容コラムニスト)