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NECの“天皇”と“王朝”の落日

NECの失速の原因は、財界政治に明け暮れる矢野会長!?

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こちらは"天皇"の操り人形、遠藤信博社長。(「NEC HP」より)
 モノ作りニッポンの代表選手だったエレクトロニクス業界が完全に輝きを失った。主力のテレビ事業が不振で、巨額赤字に陥ったソニーは平井一夫(51)、パナソニックは津賀一宏(55)、シャープも奥田隆司(58)と、いずれも50歳代の新社長が誕生した。ところがNEC(日本電気)は、代表取締役会長の矢野薫氏(68)が代表権を返上ことでお茶を濁した。矢野会長と遠藤信博社長(58)は続投する。

「矢野会長の独裁ぶりは、かつての関本忠弘会長を髣髴(ほうふつ)させる"天皇"状態になっている。遠藤社長は会長の操り人形でしかない。業績悪化の最高責任者でありながら、彼が辞めないのは、経団連副会長ポストを狙っていたからだ。年明け以降、ずっと動いていた」(NECグループの幹部)

 矢野氏は日本経済団体連合会(米倉弘昌会長=住友化学会長)の評議員会副議長の1人。経団連の副会長には、エレクトロニクス業界からはすでに西田厚聰・東芝会長(68)と川村隆・日立製作所会長(72)が就いている。猟官運動も虚しく、予想通り、副会長の椅子に座れなかった。

「どの企業も自社の立て直しに必死で、財界活動などやっている余裕はない。そんな中で、矢野さんは希有な存在だ。それにしても、NECのような業績最悪の代表選手が、財界活動とはねえ......」と、財界関係者は呆れていた。

戦略なきグローバル化に不安が募るNEC

 NECの失速の原因は、海外展開の出遅れと既存事業、とりわけ携帯電話事業の不振に尽きる。2012年3月期の連結最終損益は、150億円の黒字から1000億円の赤字に転落の見込み(ソニーやシャープの例を見ても分かるが、もっと赤字幅は拡大するかもしれない)。1万人規模の人員削減を断行するうえに、2期連続の赤字を理由に労働組合に"賃下げ"を提案し、3月27日に組合員の賃金を一律4%カットすることで合意した。期間は4月から年末までの9カ月間だ。09年にも2万人のリストラを実施したばかりだが、収益悪化に歯止めはかからないままだ。

 10年に発表した中期経営計画で、「13年同期までに売上高4兆円、営業利益率5%」という目標を掲げたが、「今の実力では(達成)不可能」(遠藤信博社長)と、これを撤回した。

 完全子会社でノートパソコンや携帯電話に利用されるコンデンサーで世界シェアの14%を占める電子部品メーカーのNECトーキンを、米電子部品メーカーKEMET(ケメット)に売却するなど、なりふりかまっていられなくなった。

 電電ファミリーだったNECは、NTTグループからの受注で収益を上げてきた。今でもNTTは最大の顧客であり、こうしたNTTへの依存体質が、海外進出を阻害した。18年3月期までに海外売上高比率を50%に高める目標を掲げているが、11年末時点で17.2%にとどまる。ライバルの富士通は同31.5%あり、海外の売上高では3倍もの差がついた。

 携帯電話事業も同様だ。NECは、NTTドコモ(山田隆持社長)に新製品を買い上げてもらってきた。ドコモが携帯電話で独走していたころ、同社の携帯端末は、国内でトップのシェアを誇った。しかし、スマートフォン(多機能携帯電話)時代に乗り遅れ、米アップルや韓国サムスン電子に国内シェアを奪われた。スマホの普及のスピードを見誤ったため、12年3月期の携帯電話の出荷台数を当初の740万台から500万台に引き下げた。

 ここにきて、NECは苦境を打破するため海外展開の強化に乗り出した。米大手通信サービス会社コンバージズから、課金システムなど、通信会社向けのシステム事業を買収。携帯電話では中国市場へ再参入する。一度、撤退した中国に再トライするわけだが、戦略性もなければ、成長シナリオも見えてこない。

「先ず隗より始めよ」という言葉がある。いまのNECに求められるのは、経営トップが自らの責任を明確にして、辞任することだ。トップ人事が伴わなければ、迷走を食い止めるスタートラインがはっきり見えてこない。
(文=編集部)

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