インターネットの普及は、ビジネス生活を格段に便利にした。特に電子メールは電話と違って、相手の都合を気にすることなく連絡ができるので、実に使い勝手が良い。
しかしこの利便性に乗じて、おびただしい数の迷惑メールが送りつけられている。本来、特定電子メール法などでは、「受信者の同意がなくメールを送ってはならない」としており、こうした迷惑メールは違法行為にあたる。しかしながら、いくら行政が規制を強めても、迷惑メールを送る業者はあの手この手で送信し続け、一向に減る様子はない。
総務庁の発表した国内全受信メールのデータを集計すると、2011年、1カ月間の総メール受信数は約19億1千万件で、そのうち迷惑メールは約7割にあたる13億2千万件にも上っている。
出会い系サイトへの誘導メールが、圧倒的に多い
最近、私宛のメールのタイトルを挙げてみると、
「おっぱい丸出しなんですけど、どうですか?」
「お願いです、抱いてください」
「競馬初心者の主婦が100万円稼げた理由」
「パチンコ・パチスロ台打ちスタッフ募集!」
など、出会い系サイトや競馬、宝くじなどのギャンブル関係サイトに誘うものがほとんどを占める。その中でも出会い系サイトに関するものが圧倒的に多い。特に「300万円をすぐにあなたにお渡しいたします」といった、「お金を上げる」というタイトルがついたメールが目につく。先日も女性から「私には残された時間は短いです」というメールが届いたので開いてみると、「医師から余命1年程度と宣告され、人助けをしたいと思ったんです。5000万円であなたの力になれるのでしたら、お受け取りいただけませんか?」とある。
お金は本当に受け取れるものだろうか?
私は援助金を受け取れるという出会い系サイトに、ニックネームを「文明」にして登録してみた。このサイトでは相手とのメールのやりとりは有料で、ポイント制になっている。1ポイント10円で、メール送信は50ポイント(500円)といった感じだ。登録して数日のうちに、女性会員から「援助金を受け取ってください」というメールが次々に届きだした。するとサイト事務局から、たくさんのお金が寄せられているので、サイト内に「文明銀行」を開設したという連絡がきた。