女医を名乗るメールには「文明銀行に40万円ほど入れたのですが、受け取ってもらえましたか? 早くあなたとデートできるなら、いくらでもお支払いします」とある。そのうちに別の女性からも「私の全財産をサイトに納めて、文明さんを黄金国宝会員へ昇格できるようにいたしました。黄金国宝会員になってくれませんか? そうすれば、私の援助金を自由に引き出せます」という連絡がくる。
そこで、本当にお金を振り込んでもらえるのかを調べるために、会員の手続きをしてみた。「昇格フォーマット」のページに、振込み金額「50万円」と振込み先の口座番号を入力した。すると、その振り込みのための手続き費用として、5000円分のポイントが必要だというので、コンビニでセキュリティマネーを購入し決済した。
しかしいくら待ってもお金は入金されず、事務局に問い合わせると「あなたは会員ランクの昇格審査に落ちた」と言われ、結局、お金は引き落とせず。つまり援助金をもらえるというのは真っ赤な嘘で、その際の手続き費用の名目でお金を巻き上げるのが目的だった。
サクラサイト商法
悪質な出会い系サイトでは、異性のサクラ役を用意して、利用者と数多くの有料メールをさせ、多額のサイトの利用代金をふんだくる。当然ながら、私にお金を上げるといってきた女性たちもサクラである。これを「サクラサイト商法」と呼ぶ。
一昨年前に摘発された業者は、大手SNSから男性たちを有料の出会い系サイトへ誘いだし、登録させていた。しかし、このサイトには新規登録した女性は誰もおらず、サクラ役の女性とメールのやり取りをさせることで、20億円もの金を利用者らから騙し取っていたというケースもある。
こうした被害にひっかからないために、迷惑メールなどに載るサイトアドレスは絶対にクリックしない。またメールを勝手に送りつけておいて、「配信停止はこちらまで」と、登録解除の手続きのフリをして、サイトをクリックさせようとするので、知らないところからのメールは、すぐ削除することを心がけておきたい。
(文=多田文明/悪徳商法評論家)