(「2ちゃんねる」より)
とはいえ、書く側は匿名であっても、書かれる側は実名であることも多い。その上、根拠もなく中傷されれば、たまったものではない。そうした書き込みが、検索エンジンに引っかかることも珍しくなく、事実無根の風評が拡大する一因にもなっている。
2ちゃんねるには、そんな書き込みについての「削除ガイドライン」なるものが設けられており、それに従って専用の掲示板で申請をすれば削除されることになっている。だが、現実はそう簡単ではなく、法人についての書き込みについては、原則的に放置されることになっており、個人の場合も、住所や電話番号などが書かれていなければ、ほとんど削除されないのが実態だ。
このように、2ちゃんねるに主体的な削除を促しても、ほとんど聞き入れられない中、2009年以降は、裁判所の仮処分が出れば、削除や発信者情報の開示に応じるようになった。だが、裁判沙汰となるといかにも大仰で、有名な企業や人物が法的手続きを取れば、それ自体がニュースとなってしまい、炎上するリスクもある。彼らは、大ごとにすることなく、自身に不利益をもたらす書き込みを削除したいと思っているわけだ。
そんなニーズに応えるべく、「2ちゃんねる対策」と銘打って、法的手段に訴え出ることなく、ひっそりと2ちゃんねるの中傷書き込みを削除したり、目立たなくするサービスを提供する企業がいくつか存在する。
そのうちの1つであるA社などは、企業に向けて、積極的にダイレクトメールを送っている。同社のDMによれば、2ちゃんねる対策を行うことで、検索結果を見て商品の購入を思いとどまるユーザーが減少したり、既存社員の離職率低下やモチベーションアップ、新卒採用、中途採用の内定辞退の減少、取引先企業などからの信用アップなど、さまざまな効果が見込めるという。A社は一体、どのようなことを行っているのか。直接問い合わせてみると、担当者は次のように説明した。