ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 資生堂TSUBAKIで髪が?
NEW
化粧品・美容業界の仁義なきシャンプー戦争

資生堂「TSUBAKI」で髪がボロボロ疑惑は本当?高額宣伝費をかけた合成シャンプ―?

文=石渡洋子/健康・美容ライター
【この記事のキーワード】,

資生堂「TSUBAKI」で髪がボロボロ疑惑は本当?高額宣伝費をかけた合成シャンプ―?の画像1「資生堂HP」より
「資生堂の『TSUBAKI』って、絶対使ってはいけないって本当?」

 美容ライターをしている筆者は、この質問を最近とてもよくされる。

 よく知られているとおり、「TSUBAKI」は化粧品業界トップの資生堂が扱う”高級ブランドシャンプーである。テレビCMでは、ファッションモデルの蛯原友里、杏をはじめとした大物タレントを、これでもかというほど多数起用。そのほかにも、表参道ヒルズでのイベント、全国各地の街頭でサンプルセットを配布するなど、その宣伝広告費は、資生堂史上最高額の50億円ともいわれている。

 噂の真相を探るためにネット検索で検索してみると、確かに「合成シャンプー」「髪と地肌を傷める」といったバッシング記事がいくつか目にとまる。

 が、その記事を読めば読むほど、疑問が湧いてくる点がいくつも出てくる。例えば、多くのシャンプーで使われている、水と油を混ぜ合わせやすくする合成界面活性剤や、化学物質に対しての危険性などが書かれている。しかし、何人かの専門家に聞くと、「合成界面活性剤のすべてが毒や危険ではない」と口をそろえる。また、化学物質に関しても、「要は使い方と分量の問題」という。

成分は他社と同様

「TSUBAKI」で使用されている成分を細かく見てみると、ほとんどが他社のシャンプーでも使われている成分だ。

 ちなみに、ある化粧品業界関係者によれば、西洋人に比べ日本人の考え方は「すべてにおいて安全と安心を求めたがるため、製品の開発が遅れ、それがグローバル市場で競争に勝てない大きな要因のひとつになっている」という。

 そもそも、「TSUBAKI」は化粧品として販売され、医薬品でも医薬部外品でもない。よって、ネット上のクレームの中には、「使用したけど髪質が改善しない」「フケが止まらない」という記述も見られるが、そうした文句をつけること自体が筋違いだ。ちなみに、薬事法を基準に考えると、医薬品は病院で医師が処方してくれる医薬品や、薬局・薬店で市販されている風邪薬や頭痛薬などのこと。配合されている有効成分の効果が認められており、病気の治療や予防に使われる。

 シャンプーでは、第2類医薬品として

「スミスリンL」(ダンヘルスケア)
「アースシラミとりシャンプー」(アース製薬)

などがある。

 次に、「医薬品ではないが、医薬品に準ずるもの」=「医薬部外品」とは、効果・効能が認められた成分が配合されているが、効果は必ず認められるというものではなく、効果が期待できるという範囲。治療よりも予防に重点を置かれたものだと考えるほうがよい。

 医薬部外品のシャンプーとしては、

「コラージュフルフル」(持田ヘルスケア)
「h&s(エイチアンドエス)」(P&G)
「メリット」(花王)

などがある。また、医薬品や医薬部外品という表示があるシャンプーでも、合成界面活性剤や化学物質が使われているものも少なくない。

ユーザーからも不満の声なし

 とはいうものの、実際に使用してみると、何かしらの害が発生する可能性もゼロではない。そこで、「TSUBAKI」のユーザー何人かに話を聞いてみたが、一様になんの不満もないとのことであった。

 また、大手ドラッグストアの店員にも聞いてみたところ、「へぇ~、そうなんですか?このお店でも扱っていますが、クレームは今までないですし、リピーターの方も数多くいらっしゃいますよ」

 とのことだった。

 最後に、資生堂のお客さまセンターにも問い合わせてみた。

「ご心配をおかけして申し訳ありません。当社の『TSUBAKI』はとても人気が高く、リピーターも多い商品です。そのため、いろいろな噂は流れているようです。研究所で安全テストなどもしております。もし、当社シャンプーでお客さまにご迷惑をかけるような、重大なトラブルがあった場合には、いち早く商品を回収すると同時に、さらなる安全性の追求をすることになると思います。また、そのシャンプーは当社系列の美容院でも実際に使ったりしています」

 そこで筆者は、冒頭で「『TSUBAKI』が肌や髪に悪いのか?」と質問してきた知人たちが、そろってその悪い噂を、美容院で美容師から聞いた話だと言っていたことを思い出した。

美容院にもシャンプー売り上げノルマ

 美容院といえば、都内では競争がかなり激しくなり、一昔前なら5000円以上が相場だった「カット〜ブロー」が、3000円以下で提供されるチェーン店も珍しくない。

 前出の美容業界関係者は、次のように話す。

「多くの大手美容室チェーンは、市販品と比べて割高な自社ブランドのシャンプーを店舗で販売しています。各店舗に自社ブランド・シャンプー販売のノルマが課せられているチェーンも多い。そこで美容師がお客との雑談の中で、『普段どこのシャンプー使ってるんですか?』『それ実は髪に悪いんですよ』と、自社製シャンプーをすすめて買わせるケースがよく見られます。中には、ひとりで月間100万円の売り上げを誇る美容師もいますよ。また、ある化粧品メーカーが新商品を発表すると、その商品についての根も葉もない情報がネット上に溢れるのは、もはや日常茶飯事。ライバル同士が陰で潰し合いを行っているというのは、この業界でよくいわれていることですね」

 ちなみに、筆者も数日間「TSUBAKI」を使ってみたが、心地よい香りと、それなりの泡立ち、指の通りも良い。ネット上に流れる噂とは違い、他社のシャンプーとそう違いはなく、肌荒れや髪の傷みなども発生していない。ただ、高い値段に見合うほどのメリットやよさを感じるかというと、それはまた別の話だが……。
(文=石渡洋子/健康・美容ライター)

資生堂「TSUBAKI」で髪がボロボロ疑惑は本当?高額宣伝費をかけた合成シャンプ―?のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!