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広木隆(マネックス証券チーフ・ストラテジスト)

なぜNECとパナソニックは、そんなにも情けないのか?

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NECの所得隠し、パナソニックの申告漏れ
が相次いだ。
 国内系、外資系運用会社を渡り歩き、株式投資の最前線に20年以上携わった後、現在はマネックス証券チーフ・ストラテジストを務める広木隆氏。そんな広木氏が、アメリカ、台湾、そして日本の企業の最新ニュースを通じて、「尊敬できる企業とは?」という深〜い問いを考察する!

投資家が尊敬する会社 ホンダが日本勢トップ - 日本経済新聞Web刊(6月26日)

 この記事の内容自体は別にどうでもよいが、気になったのは「尊敬する企業」という「言葉遣い」である。優良企業(エクセレント・カンパニー)を選ぶというのならよくある話だが、「尊敬する」という、一般的には人に対して使う動詞を企業にあてて使うことに、若干違和感があった。

 子供の頃、「あなたが尊敬する人について」という作文を書かされた。「尊敬する人ってどういう人ですか?」と先生に訊くと、「偉いなあ、立派だなあ、と思える人だよ」とおっしゃる。そこで、伝記で読んだ偉人を何人か思い浮かべる。野口英世、ヘレン・ケラー、エジソン、etc.確かにみんな「偉いなー、立派だなー」と思う。けれど「尊敬しているか?」といえば、ちょっと違う。一言で言えば「親近感」がないのだ。彼らの生き方や残した業績について素直に「すごい」と思うが、伝記で読んだだけの昔の偉人を、僕は特別「尊敬」したりはしてなかったのだ。

 友達の作文を見ると、「私が尊敬する人は私の両親です。」なんてのもあった。これについては「親近感」がありまくりだが、はっきり言って、尊敬なんてとてもできるものではない。もちろん、感謝もしているし、「偉いなあ」と思うことも2つか3つは挙げられるけれど、と同時に身内だからこそ知っているダメなところもあって、とても「尊敬する」対象ではない。

 このように、僕のなかでは誰かを「尊敬する」って、意外に難しいことだったのである。

BARRON'S

 で、本家バロンズのサイトを見ると、こうあった。

「時にfamiliarity(よく知られていること)はリスペクトを生む。優位は畏怖を生む」

 もちろん、2年連続で断トツのトップになったアップルのことを指している文章だ。なるほど、確かにアップルの、尋常ではないポピュラーな存在感、であるがゆえの圧倒的な優位性はリスペクトに値する。ここでいう「リスペクト」は「賞賛」に近い感覚だ。これなら、僕にも「リスペクト」という言葉を気軽に使えそうな気がしてきた。

 でも、この調査の80位に入った三菱UFJフィナンシャル・グループや、82位のNTTドコモに対して使えるか、となると、また考えこんでしまう。「三菱UFJフィナンシャル・グループは、世界で80番目に尊敬できる企業です」とは言わないし、言えないだろう。

台湾製パソコン基板、小さな字で「日本に神のご加護を」 - MSN産経ニュース(6月27日)

 こういう心の琴線に触れるニュースに接すると、素直にリスペクトしたくなる。

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