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切り離したハズの半導体事業に資金を出す謎経営

歴史的暴落…NECが株価100円割れを招いた原因

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NEC本社(「ウィキペディア」より)
 歴史的な暴落だった。NECの株価は7月20日に、株価データが残る1977年以降で初めて100円を割り込み、同24日には96円という歴史的な安値をつけた。もちろん、年初来の安値である。月が替わった8月1日に100円台まで回復したが、依然、“倒産株価”といわれる水準に張り付いたままだ。ITバブルだった00年に、3450円の高値に沸いた時とは隔世の感がある。

 同社は、半導体や携帯電話、パソコンなどの主力事業を分離。ハード依存から国内の携帯電話向け基地局やIT(情報技術)サービスへと事業構造の転換を図っているが、業績回復の足取りは重い。5月に行われた12年3月決算の発表時点や6月の株主総会時にはなんとか100円の大台を維持していたが、とうとう、こらえきれずに2ケタまで落ちたのだ。

 100円割れの引き金を引いたのは大手格付け会社、ムーディーズ・ジャパン。7月20日にNECの格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。もし、2段階引き下げになると、現在の「Baa2」の格付けが、投機的水準にまで落ち込み「ジャンク債」(利回りは高いが、リスクが大きい社債)扱いになる。

 ムーディーズは「収益性と財務の回復が想定より遅れている」ことを、格付け見直しの理由に挙げた。経営不振に陥っている半導体大手、ルネサスエレクトロニクスに対して、経営陣の姿勢が大きく揺れたことも影響した。

 ルネサスの設立母体であるNEC、日立製作所、三菱電機の3社は7月31日、総額495億円の金融支援をすると正式に発表した。10月1日付でNECは「製品供給を受けるための保証金」を支払う形で175億円の資金を提供。日立も175億円、三菱は145億円をそれぞれ事実上の融資をする。主要取引行の既存の融資枠を活用した500億円の融資と合わせ、支援総額は1000億円規模になる。

 ルネサスは6月上旬に、3社に対して支援を要請した。経営が悪化し国内外で1万人規模の人員削減を進めるNECは、ルネサスに直接融資することに慎重な態度を崩さなかった。
7月31日の決算発表会見でNECの川島勇・最高財務責任者(CFO)は、「株主としてではなく、ビジネスパートナーとして支援する。ルネサスが安定的に製品を供給できる体制をつくるために保証金を入れる」と説明。「製品の安定供給を受けるためのもので、融資ではない」と強調した。

「ルネサスは独立した会社であり、一切、(追加)支援はしない」と明言し、リスクを遮断したハズのルネサスに資金支援を余儀なくされたNECは、製品供給を受けるための保証金という苦肉の策をひねり出したわけだが、何と言おうと資金を出したことに変わりはない。

 NECはルネサスから手を引くべく、ルネサス株式の名義を移し替え、現在、NEC名義の株式の比率は3.02%にまで落ちた。確かに、退職給付信託名義分まで含めると同社の出資比率は35.46%で、日立(30.62%)、三菱(25.05%)を上回るが、単独ではわずか3%だ。それにもかかわらず、ルネサスから逃げ切れなかった。

『戦後史の正体』


いまや歴史の一部。

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