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NECが資金を出さなければ、協調融資体制が崩れてルネサスは倒産。その責任の鉾先が、「実質的な筆頭株主」である同社に向くことを恐れたためだが、現在のルネサスを支援する余裕などないはずだ。
「175億円の金額が多いか少ないかの問題ではない。いったん切り離したはずの半導体事業に資金を出すこと自体が問題なのだ。出資や融資ではなく商取引上の保証金と言いつくろっているが、経営判断がブレたことの影響は大きい。何も決められない、決めた通りの方針を貫徹できないという印象を株主に与えた」(証券アナリスト)
ルネサスには既に手切れ金を渡している。それなのに、周囲の圧力に押されて、理由のわからない理由をつけて資金を出した。矢野薫会長と遠藤信博社長の現体制で、NECの再建という荒療治ができるのか、との疑問符がついた。
13年3月期の連結売上高の予想は前期比4%増の3兆1500億円、営業利益は36%増の1000億円、最終損益は200億円の黒字(前期は1102億円の赤字)になる見通し。業績の黒字転換を予想しているにもかかわらず、株価は100円前後に沈んだままだ。
企業の破綻リスクを示すCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)のNECの数値は、ルネサスへの支援が固まった7月半ばに急上昇。“警戒ライン”とされる400bp(ベーシスポイント)を突破し、東京金融取引所の8月2日の参考値は522.05bp。エレクトロニクス業界では、シャープの622.99bpに次いで高い。金融機関がシャープとNECを“危ない会社”と見なしているということだ。
ルネサスへの支援をめぐり、右往左往した矢野会長、遠藤社長の両首脳の経営力&先見性への不信は根強い。野村ホールディングスのトップが7月末に引責辞任し、問題会社で経営トップが刷新されないままになっている、人事の積み残し会社はNECなど数社になった。
(文=編集部)
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