8月2日の売買高は前日比2.5倍の219万株。3日は売買高が229万株に膨れ、終値は前日比74円高(4.36%高)の1771円。コナミの平均的な売買高は1日、100万株未満だったから人気化したことが分かる。
コナミが8月2日に発表した13年3月期の第1四半期(4~6月)決算は減収減益。株価は下落するのが普通だが、逆に上昇した。ひとえに金メダルの賜物である。
同社は家庭・携帯用ゲームが主力で、12年3月期の連結売上高は2657億円。内村選手が所属するのはスポーツ施設の運営を行う子会社のコナミスポーツ&ライフ(東京・品川区)。全国約300カ所でスポーツ教室を運営しており、業界首位だ。コナミのスポーツクラブには、入会の問い合わせの電話が増えたという。
体操協会は、規定で金50万円、銀30万円、銅20万円と報奨金は渋い。金メダリストの内村選手にコナミはどのくらいの特別ボーナスを奮発するのだろうか?
メダルラッシュに湧いたのが競泳陣。異例の高額の報奨金を約束した競泳日本代表のオフィシャルパートナーのGMOクリック証券(東京・渋谷区)もご満悦だろう。
北島康介選手の金メダルはなかったが、それでも銀3、銅8の11個のメダルはアテネの8個を上回り、戦後最多。GMOは銀と銅を合わせて1700万円を贈ることになる。
GMOクリック証券は、FX(外国為替証拠金取引)を主力に12年3月期の連結営業収益は153億円、営業利益55億円だ。テレビでCMを流しているが、競泳のオフィシャルパートナーになったことで知名度を一気に上げた。
スポンサーとして金メダルに値するのが、男子200メートルバタフライで銅メダル、男子メドレーリレーで銀メダルを獲った松田丈志選手を支援した九州の中小企業の経営者たちだ。09年末に前のスポンサー企業との契約が切れた松田選手は、コーチの久世由美子さんと共に600社に支援を頼む手紙を出したが、いい返事はなかった。万策が尽き、引退を考えた。
10年5月、窮地を救ったのは故郷・宮崎県延岡市の有力企業、清本鐵工の清本英男社長だった。清本社長の呼び掛けで12社が「応援スポンサー会」を設立、活動費2000万円を寄付した。清本鐵工は船舶用アンカーなどの鉄鋼事業や産業用機械を製造する年商は218億円の中堅企業。「僕には最後の機会になるかもしれない。オリンピックに行かせて下さい」と言った松田選手の真剣な眼差しに、叩き上げの清本社長は金を出す気になったのだという。