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“傾くはずのない”液晶に潰された技術の優等生

シャープ経営危機を招いた、成功体験と3年前の過ち?

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迷走するシャープと鴻海の資本提携を報じる
「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/8月25日号)。
先端技術への投資が“カネ食い虫”?

 半導体(DRAM)、パソコン、家電、液晶テレビ、有機EL、太陽電池など、先端産業の寿命が年々短くなっている。

 先端産業の寿命が、少なくとも30~40年は続くだろうといわれていたのは10年前のこと。グロ-バル競争の激しい現在、厳しい価格競争の影響を受けて、いまやこれら産業の寿命は10~20年と、半分にまで短縮されている。特にエレクトロニクス産業でこの傾向は著しく、このため、最近10~20年間での業界トップ企業の栄枯盛衰は目まぐるしい。

 しかし、半導体でも、家電でも、液晶でも、新技術・新製品を開発して市場に送り出し、それらが利益を上げて主力事業にまで育つのに、30年以上はかかる。よって、苦労してやっと利益が出せる段階になったと思った途端、激しいグロ-バル競争や低価格競争にさらされて、技術・製品の陳腐化(コモディティ化)が急速に進み、わずか10年ちょっとで業界や産業の衰退が始まるとなると、企業にとって先端事業への投資回収は、ただの“金食い虫”となる。

 今、これら先端産業では、従来の常識を超える猛スピ-ドで「産業寿命の短縮化(短命化)」が進んでおり、国内でこれらの業界・産業の存続が維持できなくなり、半導体のDRAM、家電の薄型テレビ、パソコンなどのように、ある日突然が消滅する「産業の突然死」すら起こっている。

突然死する日本企業たち

 “最後の日の丸半導体”として生き残りが期待された、エルピ-ダメモリの破綻に見られるように、半導体産業の崩壊、パナソニック、ソニ-、シャ-プなど日本の家電メ-カ-の総崩れ、そして今はシャ-プの経営危機と、日本の液晶産業の衰退が急速に進んでいる。おそらく、いま注目を集める有機ELや太陽電池などは、液晶以上に産業の寿命が短いだろう。

 先端産業の寿命の短縮化や突然死がこれだけ早く、ドラスチックに起こることを、各企業の経営トップは本当に事前に予測できなかったのか? 

 もし予測できなかったとしたら、なぜできなかったのか?

 さらに、経営トップの判断ミスや舵取りの失敗はなかったのか?

 いずれにしても、これらの問題をきちんと検証しないと、また同じ誤ちを繰り返すことになる。

生き残ったGEの選択

 今から30年ほど前、これから訪れるグロ-バル市場での熾烈な生き残り競争を予測して、米国GE(ゼネラル・エレクトリック)のカリスマ経営者として知られるジャック・ウェルチ元会長は、「グロ-バル競争となれば、新興国の激しい追い上げで厳しい価格競争にさらされ、先端産業といえども産業の寿命はますます短くなる。企業の栄枯盛衰はそれ以上に厳しく、そのため、世界で1位か2位になれない事業からは撤退する」と予言的に語っていた。グロ-バル市場では世界上位の1位か2位でないと、価格主導権や競争優位を確保できないからだ。