大手総合商社MとI、弱小企業を“恫喝”しブランドを乗っ取り!?
(ダイヤモンド社/2011年9月17日号)
「ブラック企業アナリスト」として、テレビ番組『さんまのホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)、「週刊SPA!」(扶桑社)などでもお馴染みの新田龍氏。計100社以上の人事/採用戦略に携わり、あらゆる企業の裏の裏まで知り尽くした新田氏が、ほかでは書けない、「あの企業の裏側」を暴く!
読者の皆さまもよくご存じの、あの大企業。
世間では「大手」「一流」「有名」「ブランド」企業と呼ばれているが、実際には裏であくどいことをやっているのだ。そんな実態をセキララに暴く、「あの企業の裏側」。
連載第1回目は、就活生からも社会人からも大人気の「総合商社」を取り上げる。
この総合商社、高給か、それともグローバルに活躍できるイメージからか、就職人気ランキングでは長年上位を占めているのはご存じのとおりだ。
しかし実際のところ、商社ほど「外面のいいブラックな企業」はないのだ。大前研一氏も、著書『サラリーマン・サバイバル』の中で
「大手商社は常にランキングの上位に顔を出す。しかし、商社というものはもう社会的意義が終わっているうえに、やっていることは ほとんど犯罪すれすれと言ってもいいくらい、“灰色の仕事”をしているのである。利権と浮利を追う癖が抜けないからだ」
と喝破しているが、まさにその通りなのである。
といっても、読者の皆さんの多くは「なぜ商社がブラックなのか?」と疑問を抱かれることだろう。
では、ここで、日本を代表する大手総合商社のIとMを事例に、具体的な根拠を挙げていくことにする。
商社の柱は金融・投資事業
まずその前に、商社の業務内容について復習しておこう。
商社は、旧来のように貿易や物流、卸売といった「モノを右から左に流す仕事」をなりわいにしているわけではない。昨今では金融・投資事業を柱にしている。しかし、この金融と投資というものを、文字通りに捉えてはいけない。投資銀行が行うような金融や投資とは、まったく違う次元の話だからだ。
まず「金融」だが、これは特に「商社金融」と呼ばれるものだ。
日本の一般的な商取引では、商品の納入から入金までには通常1カ月~数カ月のタイムラグがある。支払サイトが長期になると、売り手にとっては入金が遅れてしまうため、資金繰りが厳しくなる。そのため、商社が売り手と買い手の間に入り、売り手に対しては早期に代金を支払って資金繰りを助け、買い手に対しては希望通り長期の支払サイトを受け入れることによって、その期間の差のリスクと金利を負担し、その代償としてマージンを得ることが一般的に行われる。