大手総合商社MとI、弱小企業を“恫喝”しブランドを乗っ取り!?
この時、支払サイトの期間中、売り手に対して実質的に商品代金分の金額を貸し付けている状態となるため、「商社金融」と呼ばれているのだ。
要するに、単なる手数料収入である。にもかかわらず、この取引の商品代金を含めた総額が、商社の「売上高」として長年認識されてきた経緯があった(現在は、手数料や利息の純額部分が収益として認識されるようになった)。
「投資事業」の実態
次に、「投資」についてだ。
これもまったく一般的なイメージとは乖離している。商社にいわせれば、「子会社をつくって、従来本社でやっていた業務を移管する」のも、「他の会社と商品の販売契約を結んで、資金や人材の提供を行う」のも投資なのだ。投資銀行による投資が「資金を入れる」行為であるのに対し、商社の投資には「販売契約を絡めた実務につなげていく」ことが多い点が特徴である。その点を勘違いしてはいけない。
さて、このように聞こえの良い「投資」事業だが、実際の現場ではどのようなことが行われているのか。実際に大手五大商社で行われているのは、このような手口である。
ケース1:大手総合商社・I
アパレルブランドのラインナップに強みをもったIは、自社が傘下に収めたいブランドがあるときは、このような手を使う。
まずブランドを持ったメーカーと提携して、代理店として商品を販売する。商社の販売力は大きいため、メーカーとしては助かり、商社との取引ウエイトを増やしていく。ある程度の取引規模になったところで、商社側は「何かしらの理由をつけて入金を遅らせる」「わざとトラブルを起こす」などの強権を発動し、メーカーへのカネの流れを途絶えさせるのだ。
カネが途絶えると、メーカーの生産にも影響が及び、納品が予定通りにいかなくなったりする。商社はそれを好機として「契約違反だ」などとイチャモンをつけ、あろうことかメーカーを提訴してしまう。裁判になれば当然商社側が勝つので、それをもってブランドをよこせというわけだ。これで、「商社のブランド乗っ取り」が完了する。
ケース2:大手総合商社・M
Mは、「小規模だが優良なコンテンツを持った会社」のライセンスをすべて思い通りにしたい場合に、このような手を使う。
業務提携の名目で、「ライセンスに関する業務提携契約書の締結」をしたいといって取引先を呼び出す。取引先企業は、商社とビジネスできれば自社の信用力アップ、取引増大につながるので、喜んで提携を結ぶ。
しかし、そこで実際に取り交わすのは業務提携契約書ではなく、「独占知的財産管理契約書」なのだ。これによって、M側はコンテンツを好きなように扱えてしまう。何も知らない担当者は、知らずに判を押す。これでライセンスの乗っ取りは完了だ。
読者の皆さまも映画のエンドロールなどでご覧になったことがあるかもしれないが、何か大規模なコンテンツを売り出す時、「○○委員会」といったものをつくることがある。そこに商社が一枚噛むのだ。委員会の意図通りにしなければ、テレビにも雑誌にも露出できなくなるため、従わざるを得ないという構図である。そして味方弁護士も加わり、儲かったころにライセンス元の会社を乗っ取って山分けするというわけだ。
大手商社はその外面的なイメージとはウラハラに、かなりあくどいことをやっている。
引き続きこのような「あの企業の実態」を、白日の下に晒していきたい。