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当初は配本を約束していたのに、出版直前に態度を一変…

取次大手トーハン、書店への原発関連新刊本の配本を拒否!?

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取次大手トーハン、書店への原発関連新刊本の配本を拒否!?の画像1『タブーなき原発事故調書』
(鹿砦社/鹿砦社特別取材班)
 ある出版物の販売が制限されるような事態が起きている。それは、公序良俗に反するものでもなければ、著しく公共の利益を損なうような刊行物でもない。原発の問題について追及した書籍に対してなのである。

 事件となった刊行物は、鹿砦社から発行された、『タブーなき原発事故調書~超A級戦犯完全リスト』(鹿砦社特別取材班・編著)である。その内容は、第一部が東電元社員をはじめ、原発問題に積極的に取り組んでいる人々のインタビュー。

 続いてメインとなる第二部では、「福島原発事故・超A級戦犯26人」と称して、東電の経営幹部やいわゆる御用学者たち、原発推進派の政治家や財界人、労組関係者などを厳選し、それらの発言や行動について詳細かつ具体的に紹介している。そのうち勝俣恒久・元会長など6名に対する突撃インタビューも収録されている。

 そんな同書の発行に際して、出版元である鹿砦社に対し、「取次」と呼ばれる出版取次会社各社が「配本の取り扱いを拒否する」と通告してきたのである。当初、取次各社は「同書を配本する」としていたが、発行の段となって態度を一変させたのだ。

 取次とは出版業界において問屋、または商社に相当するポジションにあり、出版物は通常、この取次を介して書店やコンビニへと出荷される。この出版物の流通が「配本」と呼ばれる。すなわち、取次が配本を拒否すれば、書店など販売店にその出版物が陳列されることはなくなる。消費者が注文すれば書店での入手は可能となるが、書店で不特定多数の人々に、その出版物が知られる機会はなくなる。出版物にとって、読者の手に渡ることを大きく封じられたのも同じである。

●検閲と同じ

 こうした取次各社の対応に、鹿砦社代表・松岡利康氏も「委託配本拒否は焚書処分や検閲も同じ」と憤りをあらわに示している。

 現在、日本には発禁や検閲といった制度はない。しかし、雑誌や書籍がその流通を抑えられるケースがないわけではない。ただしその多くは、自治体の条例等によって不健全図書に指定された場合などがほとんどである。今回のような、社会的な問題を取り上げた書籍が配本を拒否されるという事態は、極めて異例といわざるを得ない。

 しかも、鹿砦社が取次により配本拒否されるのは、今回が初めてではない。昨年同社から刊行された、やはり原発関係者について指摘した『東電・原発おっかけマップ』についても、まったく同様に取次各社が配本を拒否している。

 現在、『タブーなき〜』を入手するには、同社のサイトやAmazon.comにアクセスして直接購入するか、書店に取り寄せの形で注文するなどの手段を取るほかはない。

●不明確な拒絶理由

 それにしても、取次がこれらの「原発本」を拒絶する理由は何か?

 その点について、去る9月14日、松岡氏をはじめ、同社営業担当や同書の取材責任者などの面々と、取次最大手・トーハン(本社・東京都新宿区)との話し合いが行われた。その際、トーハン側は配本拒否の理由として、「一見して個人情報が載っていることがわかるから」と主張した。

 しかし、これだけで同書が配本することにそぐわないものと判断しうるには疑問が残る。確かに、たとえ公共性の高い企業の経営幹部や、政治家や官僚、公的研究機関の研究者であったとしても、ある程度のプライバシーは保護されるべきだろう。

 だが、当該する役職にある人々の連絡先等を明記した出版物はほかにも公表されており、同書が著しく常識を逸脱したものであるとは考えられない。

BusinessJournal編集部

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