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(「Thinkstock」より)
アメリカ会計検査院のレポートが、インスリンポンプやICD(植込み型除細動器)といった医療機器について、ハッキングによる遠隔操作が脅威になりうると警告している。患者の生命を握る医療機器に対して、IT犯罪者による攻撃が行われるかもしれないのだ。
たとえば同レポートで取り上げられているのが、脅威の可能性を調べるためにセキュリティ企業のマカフィー社が2011年に行った実験である。この実験では、ハッキングによりインスリンポンプの無線操縦機能と安全警報機能を乗っ取ることができたという。
先行研究ではこうした乗っ取りをするには、インスリンポンプの製造番号を入手するために、患者のすぐ近くまで近寄る必要があった。しかし、この実験のために開発されたツールを使えば、製造番号は必要なく、患者から約100メートル離れたところから無線操縦することが可能となっている。
これをIT犯罪者が実行すれば、無線操縦でインスリンポンプが機能不全となり、さらに安全警報もオフにされてしまう。インスリンポンプは、糖尿病患者にインスリンを送り続ける装置だ。その機能が停止し、しかも安全警報も鳴らないとなると、患者の生命が危機にさらされる。
以上のレポートは、医療機器に対する攻撃だが、驚くことに、人間の体にコンピュータウイルスが感染する日も近いという話もある。
といっても、人間の生体にコンピュータウイルスが直接感染するわけではない。具体的には、人間の体内に埋め込まれた電子的なチップに、コンピュータウイルスが感染する可能性があると指摘されている。
既にアメリカの警備会社の中には、社員の体内にICチップを埋め込んでいるところがある。このICチップは鍵の機能を果たすようになっており、社員が警備のために派遣された先の会社で、ICチップを使って敷地に出入りする。従来型の鍵と違って、体内に埋め込まれたICチップだから、強盗などに奪われることもないというわけだ。
こうした体内チップは、外界にあるコンピュータと通信をする。鍵の機能を持った体内チップなら、建物のセキュリティシステムと、個人情報を保存した体内チップなら、病院やショッピングセンターのコンピュータと、データをやり取りする。そこで、体内チップがコンピュータウイルスに感染していたらどうなるだろうか。