「リーフ」の国内販売は、11年2月に約2600台売ったのが月間販売の最高記録。12年上半期(4~9月)は計5506台、月平均917台だ。リーフの世界販売台数の累計は4万3000台。内訳は日本で1万9000台、米国で1万7000台、欧州その他で7000台となっている。
今年度のEVの世界販売台数は、上半期で約1万2000台。年度目標の4万台に遠く及ばない。日産は神奈川県の追浜工場に、EVを年間5万台生産する能力を持っている。販売実績は生産能力の半分以下にとどまっていることになる。
次世代エコカーの本命として鳴り物入りで登場したEVだが売れ行きはかんばしくない。当初から指摘されたことだが、価格が高く、航続距離が短く、充電インフラが整っていない。ないないづくしが販売のネックとなっている。
新モデルの最低価格は、カーナビなどをつけずに256万9500円。政府のEV向け補助金(78万円)を使った上での価格だ。廉価版の「Sグレード」から一部オプション装備を外すと同249万6000円まで下がり、消費者の心理的な壁といわれる250万円を切った。「EVは高いという印象を少しでも払拭したい」との思いで価格を下げたのだ。だが、それでも、EVの割高感は残る。
普及の足かせになっていたのが1回の充電で走れる航続距離の短さ。新モデルは航続距離で従来モデルから14%延びて228キロメートルになったが、フル充電で走れる距離はまだまだ短い。
ガソリンエンジンのコンパクトカーが満タンで走れる距離(800キロメートル程度)までに引き上げるには、バッテリーの性能が飛躍的に向上しない限り無理だろう。
そのため、日産では独自に低価格の急速充電器を開発し、日産の販売ディーラー、700店に配備するなど、充電インフラ整備に力を注いでいる。
そんな中でEVメーカーに冷水を浴びせる事態が発生した。米国の規格標準化団体、自動車技術者協会(SAEインターナショナル)が10月、EVの急速充電規格について、欧米の自動車メーカーが推進しているコンボ方式を採用すると発表したのだ。国内メーカーはチャデモ方式を採用しており、日本勢が世界で孤立する可能性が懸念される。
EV車の実用化で先行している国内メーカーは、家庭電源を使う普通充電と急速充電の2種類のプラグが必要なチャデモ方式を採用している。日産のリーフ、三菱自動車のアイ・ミーブがそうだ。
これに対して米GM、独フォルクスワーゲンなど欧米の主要メーカー8社は、普通充電と急速充電を一体化したコンボ方式の採用を決めている。コンボ方式を採用したEVはまだ、1台も走っていない。市場に出回るまでには、数年はかかる見通しだ。