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今は亡き黒川紀章が選挙で見せた掟破りのパフォーマンス

「スポーツ紙の芸能面でド派手に宣伝」選挙戦報道の裏ワザとは?

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幸福実現党も活用できそう?
 

民主党への期待の裏返しと、自民党への長らくの不信感……離党するあまたの議員や、乱立する政党など、複雑すぎる昨今の日本の政治。国会新聞で編集次長を務める宇田川敬介氏が、マスコミ報道という観点から、異論・反論交えて解説するーー。

 12月4日、第46回総選挙の立候補者の公示が行われた。1400名以上の立候補者が480の議席を争うことになる。

私は国会新聞社の編集次長であるから、このように文章を切り出したら、本来なら、選挙の当落や各政党の議席獲得数予想、または選挙で予想される今後の政策や政治の動きを書くことになるが、今回は少々趣が異なる。

今回は、「選挙とマスコミ」の関係に関して書いてみたい。

●「平等公平」が求められる選挙報道の裏ワザ

さて、選挙期間中のマスコミ報道は、原則として、どの候補・政党も平等公平に扱わなければならないということになっている。例えばテレビなら「各候補者に関して報じる時間は、同じ尺に」しなければならず、どこかの候補・政党だけを、特別扱いすることはできない(もちろん、ある政党に所属していても、その選挙に関係がない党員や立候補していない人はこれに当てはまらないし、また、大臣や政府の一員としての発表ならば、その報道はできることになっている)。選挙活動に当たることーー要するに、候補者や政党による政策(マニフェスト)の主張ーーなどについては、平等に報道をしなければならないのだ。

 もちろん、これらは、公職選挙法や放送法などの法律で定められているし、同時に、マスコミ間の協定も出来上がっている部分もあるなど、マスコミ報道においては常識的な話。しかし、この常識を、ある意味で覆した選挙があるのだ。

それが、2007年の東京都知事選挙である。この都知事選は、自民党・公明党などから推薦があった石原慎太郎氏の再選選挙であり、また、民主党が浅野史郎前宮城県知事を擁立したことで話題になった。これだけでなく、そのほかのさまざまな候補が立候補したことで、当時すでに政界を引退していた塩川正十郎氏が「候補者が多すぎる」とテレビで苦言を呈していたほどである。

 この時は結果的に、石原氏がオリンピック招致などを掲げて三選するのであるが、実は、「石原氏とは親しいが、議会無視、側近政治、無意味な五輪招致など目に余る」として、政党の基盤もなく、支持層や固定票も存在しない中で出馬表明をした黒川紀章(故人)氏の選挙戦略が、最も「選挙報道史」に残るものとなったのである。

では、具体的にどんなものだったのか? まず、先述した「選挙報道の平等」が求められるのは、基本的には新聞・雑誌・テレビの政治面である。黒川氏は、そこに目をつけ、政治面以外で自分が報道されることを考えたのである。

ここで、新聞の構造を例にとって考えてみよう。新聞は、細かい分類はさまざまあるが、基本的に「政治面」「社会面」「経済面」「国際面」「スポーツ面」「文化面」そして「テレビ欄」に分かれる。そして、スポーツ紙になると「芸能面」「社会面」「成人面」「公営ギャンブル案内」などに分かれる。黒川陣営は、この中で、一般紙の「社会面」とスポーツ紙の「芸能面」を狙い、自分たちが大きく報道されることを企画したのである。