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ダマされないための「儲けのカラクリ」 第16回

金子哲雄、飯島愛…サイバースペースで続く故人たちの偉業

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『僕の死に方』
(小学館/金子哲雄)
 さまざまなテレビ番組や雑誌などでもお馴染みの購買/調達コンサルタント・坂口孝則。いま、大手中小問わず企業から引く手あまたのコスト削減のプロが、アイドル、牛丼から最新の企業動向まで、硬軟問わずあの「儲けのカラクリ」を暴露! そこにはある共通点が見えてくる!?

●サーバー上で生き続ける「故」人

 あるところに、彼氏と彼女がいた。

 不幸にも、交通事故で彼氏が死んだ。彼女は傷心のまま時を過ごす。数カ月後、彼女が誕生日を迎えたとき、なんと彼女の携帯電話に彼からの「ハッピーバースデー」メールが届く。もちろん、送付元は亡者ではない。彼氏が、生前に忘れないようにと、彼女の誕生日に送信予約していたメールだった。彼女は、そうとわかりながら、彼氏が生きている気がして動転した。サイバースペース上であっても、確かに彼氏が生きているのではないかと。彼女は複雑な感情を抱えながら、いまだに彼氏のことを忘れられない。

 こんな話を海外のサイトか何かで読んだ。これは作り話だったのか、あるいは都市伝説なのかはわからない。ただ、技術的にはなんら問題はなく、さも「ありうる」話であることに、私も心揺さぶられた。

 これまでであれば、故人は確かに「かつての人」だった。実存することと、その人に触れ合うことは、切り離せない関係にあった。しかし、サイバースペース上に故人の情報が載り続ける現在では、喪失感の「リアルさ」がどこまでもあやうい。特に有名人は、一般人にとってこれまで日常生活で触れ合っていた人たちではない。ブラウン管の中の人が、これからはサイバースペース上の人になっただけ。そう考えれば、インターネット時代の生死観の変化は、おそらくこれからの研究対象となるだろう。

 いや、そんな衒学的な話はいい。具体例を見ていこう。

 有名なところでは、飯島愛さんのブログがある。「まっすぐ歩けない飯島愛のグダグダブログ」と副題のついた「飯島愛のポルノ・ホスピタル」では、最終更新が2008年12月5日だ(愛さんの死亡推定日は、同年12月17日)。しかし、最後のエントリーには7万件近いコメントがいまだに投稿され続け、クリスマスが近かった彼女の死を悼んで、数多くのファンの集いの場にすらなっている。

 今年死亡した有名人のブログはどうだろう。

 政治評論家として有名だった三宅久之さんのブログ「三宅久之の小言幸兵衛」には冥福を祈る書き込みが、同じくあふれ続けている。辛口評論家として有名だった氏も、日本を想う熱意ゆえに愛され続け、「亡くなった11月15日から昨日(筆者注:12月12日のこと)までの合計で、380万件を突破いたしました」と事務所スタッフがブログに書くに至った。

 桑名正博さんのブログ「blog of Kuwana Com」には、病状悪化の報道が流れたころから応援メッセージが増え続け、死去のあとも生き返ると信じて疑わない熱心なファンの書き込みが目立った。往年からのリスナーにとっては、まさに自分自身の青春の終わりでもあったかもしれない。

 安岡力也さんのブログ「閻魔様にも断られちまった!」では、感動的なほどファンが力也さんを偲ぶコメントをいまだに書き続けている。ほとんどこのテのもので感動しない私だけれど、力也さんへのコメントを読んでいると、目頭が熱くなってくるほどだ。

●金子哲雄さんのこと

 そして流通ジャーナリストの金子哲雄さんについても触れたい。

 氏と私が初めて会ったのが3年ほど前。テレビ番組収録の時だった。あまりに誰もが書くのでやめたいけれど、金子さんは本当に周囲への気配りを忘れず、それに私のようなちんぴらコンサルタントにも丁寧に接してくれる人だった。

『僕の死に方』


生前に書き上げ、死後に発売しベストセラーに

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