(「Wikipedia」より)
「ブラック企業アナリスト」として、テレビ番組『さんまのホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)、「週刊SPA!」(扶桑社)などでもお馴染みの新田龍氏。計100社以上の人事/採用戦略に携わり、あらゆる企業の裏の裏まで知り尽くした新田氏が、ほかでは書けない、「あの企業の裏側」を暴く!
皆さんは日本IBMという会社に、どのようなイメージをお持ちだろうか?
「就職人気ランキング上位企業」
「業界大手で、外資系ながら日本的な安定感を持った会社」
「堅実な業績」
「人材輩出企業」
「高収入でスキルも得られる」
私自身が就活生だった14年前、同社は光り輝くブランドであった。そして現在。同社にはイメージ通りの面と、そうではない面がある。まずはその乖離からみていきたい。
最初に、「就職人気ランキング上位企業」からだ。手元に1976年度入社以降の「就職人気企業ランキング」があるが、データが残っている限り、ほぼ毎年のようにトップ10位以内にランクインしている。しかし直近では、2002年度入社組の「理系5位」にランクインしたのを最後に、今までトップ10圏内に返り咲いていない。
総合ランキングからは姿を消したものの、「IT系企業人気ランキング」とか「女性が働きやすい会社ランキング」といった個別の指標を基にしたランキングでは、依然根強い人気を誇っている。
具体的には、「日経ウーマン」(日経BP社)が実施した「女性が活躍する会社ランキング」において、日本IBM は1位(11年)。そして、「2013年度 日経コンピュータ×楽天みんなの就職活動日記共同調査 IT業界就職人気ランキング」では、「男性就職人気企業ランキング」において4位となっている。
次に「人材輩出企業」については、もう実績だけをご覧いただければ一目瞭然だ。この評価については間違いないといえるだろう。
・江崎玲於奈:ノーベル物理学賞受賞、横浜薬科大学学長、元芝浦工業大学学長、元筑波大学学長
・佐野力:元日本オラクル社長
・倉重英樹:RHJインターナショナル・ジャパン会長、元日本テレコム社長、元IBMビジネスコンサルティングサービス会長、元プライスウォーターハウスコンサルタント会長兼社長
・北城恪太郎:前経済同友会代表幹事、元IBM AP President、元会長
・新宅正明:日本オラクル会長
・玉塚元一:リヴァンプ代表パートナー、ロッテリア会長
(以上、敬称略)
上記以外にも、東証一部上場企業の社長クラスがゴロゴロ存在しているのだ。
●実際は10年連続減収、トラブル続出の問題企業
こうしたデータをもって、日本IBMは、「大手安定企業」で「業績好調な優良企業」といえるだろうか? 答えは「否」である。
同社の11年の売上高は8,681億円、経常利益で940億円、当期純利益は272億円だ。これだけを見れば明らかに「黒字大企業」なのだが、経年変化を見なければいけない。
10年度は、売上高が9,377億円、経常利益は1,242億円、当期純利益は773億円であったから、売上高では前年比7.4%減、最終利益では前年比64.8%減の「減収減益」だ。