餃子の王将はブラック企業じゃない?スパルタ研修、人材育成へ多額投資…
世の中には「ブラック企業ランキング」「不人気企業ランキング」といったものが存在する。しかし、ブラック企業アナリストの新田龍氏によれば、「ブラック企業」に該当しない企業が含まれていることがあるという。内情は優良企業でさえあるのだが、その企業が属する業界や、一部の個別企業によるダーティなイメージが投影されている可能性があるためだ。新田氏がそのような企業を取り上げ、「何がブラック企業イメージの原因か」「実際はどうなのか」について、多角的に分析していく。
さて今回は、「王将フードサービス」を取り上げる。ご存じ「餃子の王将」を展開する会社だ。2013年卒就活生にきいた「絶対に入りたくない企業ランキング」において、オリンパスと並んで堂々同率6位にランクインした不名誉な記録を持ち、検索サイトで社名を打ち込むと必ず関連キーワードに「王将 ブラック」などと表示されてしまう、気の毒な会社である。
個人的には関西出身ということもあり、同社には馴染み深い感覚を抱いている。私自身ユーザーとしてちょくちょく利用しており、いつ訪問しても客が途切れない、顧客から支持されている店という印象だ。
実際、同社の業績は好調である。売上高は2010年6月に2年11カ月ぶりの前年同月比減を記録するまでずっと増収を続けており、10年連続で過去最高益を更新し、売上高も8年連続の増収である。同社の積極的な事業展開と、サービスクオリティの向上によるものであろう。
ただ、ユーザーとして利用するのと、社員として働くのは別ということだろう。就業先として同社の人気は著しく低い。恐らく直接的なきっかけは、2010年4月に日本テレビ系列で放送された『TheサンデーNEXT』ではなかろうか。
●スパルタ研修が話題に
この番組では、同社の新入社員研修の様子が放送された。研修中、携帯電話は会社に預け、テレビ、新聞、酒、タバコも一切禁止。夜は11時に消灯、朝は6時半からランニング。社訓とオリジナルの「王将体操」、あいさつなどの接客基本動作、3分間の「私の抱負」スピーチのすべてで合格点をもらえないと、修了が認められないというスパルタぶり。
厳しい研修であるが、怒鳴られているうちに新人たちにも熱が入り、最終的には
「弱い自分を脱却して、立派な自信を持った社会人になります!」
「1年後にチーフとなり、店長になって絶対に日本一の店にします!」
とスピーチで絶叫し、常務と抱き合って涙を流す。配属後、新人は「あそこで甘えが捨てられた」と振り返った……この様子は、今でも動画投稿サイトで確認可能である。
放送当時、ネット上を中心に賛否両論で、かなり話題になったものだ。否定的な意見としては
「まさにブラックそのもの」
「洗脳こわい」
「社畜こわい」
「先進国の光景じゃない」
「軍隊式が崇められてて日本独特」
といったものが多かった。
一方で擁護的なコメントも寄せられており、
「感動した」
「これでブラックとか、どんだけひ弱なんだよ」
「そもそも研修で遅刻するなんて考えられない」
などといった意見も見られた。