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西武HDへ敵対的TOBか サーベラス、上場阻止狙い今週にも…株価つり上げ画策か

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西武
西武HD傘下のプリンスホテルが運営する
「ザ・プリンス・パークタワー東京」
(『Wikipedia』より)
 昨日(3月10日)、ロイターは、西武ホールディングス(HD)の筆頭株主、米投資ファンド・サーベラスが、西武HDへの保有株式を3分の1以上に引き上げるため、株式公開買い付け(TOB)に踏み切る方針を固めたと報じた。

 サーベラスは、TOBにより現在の西武HD株保有比率を32.4%から33.4%へと引き上げ、同HD経営への影響力を増す構えだ。

 金融業界関係者は、次のように話す。

「サーベラスは、今回のTOBについて、西武HDと資本提携契約を結んでいる関係もあり、あくまでも“友好的”TOBだとマスコミには説明している。しかし、すでにサーベラスは西武HDの取締役会に対し、特別決議の拒否権を持つ3分の1以上の株式獲得に向けたTOBを行うと通知したが、西武HDは『経営権を渡すことや、これ以上の役員受け入れは困難』と一度拒否している。こうした経緯から、西武HD取締役会は今回のTOBに賛意を示さない可能性が高い。そうなれば、敵対的TOBとなる。3分の1以上の株式取得とはいえ、サーベラスは、西武HDの経営を実質的にコントロールしようとしているのではないか」

 すでにサーベラスは、TOBと同時に、元金融庁長官の五味廣文氏の西武HD社長への就任をはじめ、元日本郵政公社(現日本郵政)総裁・生田正治氏、あおぞら銀行取締役・白川祐司氏の取締役就任を求め、金融機関にも説明するなど、具体的な青写真もでき上がっているという。

●困惑する金融庁

 五味元金融庁長官の社長就任の可能性が取り沙汰されるなか、困惑しているのが、五味元長官の出身母体である金融庁だ。

「私企業の動きに、いちいち官の側があれこれ話すべきではない。そんなことはわかっている。しかし、今回の報道で五味氏の名前が浮上したことには、大変困惑している。五味氏はどういう考えなのか?あくまでも仮定の話だが、金融庁の出身者、しかも元トップが、外資系投資ファンドが推すかたちで西武HDのトップになれば、同庁が“ハゲタカの手先”との謗りも免れない。なんとか、友好的TOBで穏便に事が運ぶことを願うばかりだ」(金融庁関係者)

 だが一方で、こうした声は、あくまでも「表向き」のものだという声もある。

「そもそも西武HDの前身西武鉄道は、2004年、総会屋利益供与事件や証券取引法(現・金融商品取引法)違反で上場廃止となった。その後を継ぐ西武HDに、どういう形であれ霞ヶ関から人を送り込む意味は大きいものだ。西武HD社長として経営に辣腕を振るってほしいと願う官僚も、少なからずいるだろう」(財務省関係者)

 また、検察関係者も「西武鉄道の一連の事件に関しては、堤義明前会長は執行猶予付きで済んだ。外資による買収といえど、金融庁の元トップを社長に据えることで、西武HDの動きを監視することに賛同する官僚は、少なくないのではないか」

 静観の構えを崩さない霞ヶ関だが、その内心では、五味元金融庁長官の西武HD社長への就任を望んでいるという声もあるようだ。その一方で官僚出身の五味元金融庁長官の経営手腕は依然として未知数である。

●サーベラス、非現実的な株価つり上げ策も要求か

 そもそもサーベラスと西武HDの関係は、05年に両社間で締結された「資本提携契約」が始まり(当日、西武HDは西武グループ)。06年には、サーベラスは現在価格で約1000億円の資本注入。現在、サーベラスは西武HD株の32.4%を保有する株主である。

 旧西武グループから現在の西武HDとなった06年には、同社とサーベラスの間で、時期は未定なれど「早期かつよい形での(再)上場を目指す」こととなった。これにより西武HD側は、サーベラスからも再上場に向けて協力が得られるものと考えていた。

 その後、西武HDは、業績の堅調化、財務体質の強化が図られ、企業価値が向上。12年10月末には、サーベラス側からの要求もあり、同年12月の再上場に向けて、準備を進めるまでにこぎ着けた。

 しかし、サーベラス側は、証券会社が仮に算出した想定IPO(新規公開株)価格を不服として、株価つり上げのため、西武HD側にとっては実現不可能とも思われる以下の要求を行うのみならず、再上場実現に非協力的な姿勢を見せた。背景には、高い投資リターンを望むサーベラスが、西武の想定する上場時の売り出し価格が低い点に不満を抱いたことがある。

【サーベラスから西武HDへの要求事項】

(1)具体化していない事業の、経営計画への織り込み、公表
(2)不採算鉄道の一部廃線
(3)資産売却、公表

 もし西武HDが、当初目標としていた12年12月に再上場していれば、ここ最近の株価・地価上昇により、高値での株式売り出しや、さらなる株価上昇が見込まれた可能性が高い。再上場に向け、西武HDはすでにIPO価格を決めていた。しかし、これにサーベラス側が強く反発、「出来るだけ高い価格で売り出しをしたい」と西武HDへ要求している。